多重債務防止

『小規模個人再生』と『給与所得者等再生』の違い

「個人再生」は、借金を大幅に減額できる、債務整理の一種。その中でも、下の2種類があります。

  1. 小規模個人再生
  2. 給与所得者等再生

それぞれの違いを簡単に書くと、

  1. 小規模個人再生…自営業など、誰でもOK
  2. 給与所得者等再生…サラリーマンのみOK

…となります。ポイントごとに違いをまとめると、

  1. 借金の負担額…「小規模」の方が小さくなる
  2. 審査の厳しさ…「小規模」の方が厳しい
  3. 普通はどっちを選ぶ?…「小規模」

…となります。以下、詳しくまとめます。

目次

1.借金の負担額…「小規模」の方が小さくなる

個人再生の目的は「借金総額を減らすこと」です。その点でメリットが大きいのは「小規模個人再生」の方。「減額の幅が大きくなる」からです。

両者はそれぞれ、下のような金額を払わなければいけない、というルールになっています。

  • 小規模個人再生…借入総額の5分の1(最低100万円)
  • 給与所得者等再生…可処分所得「2年分」

以下、詳しく説明します。

1-1.小規模個人再生の、最低返済額

小規模個人再生では、最低返済額が下のようになっています。「借金総額に応じて変わる」というのがポイントです。

借金総額 最低弁済額
100万円未満 全額
100万円以上~500万円未満 100万円
500万円以上~1500万円未満 5分の1

…ということです。(これより上もありますが、とりあえず省略します)

さらにわかりやすく「よくある借入金額ごと」に最低返済額を書くと、下のようになります。

借入総額 最低弁済額 減額率
200万円 100万円 50%
300万円 100万円 66%
400万円 100万円 75%
500万円 100万円 80%
600万円 120万円 80%
800万円 160万円 80%
1000万円 200万円 80%

このように「500万円」から「常に5分の1」まで減額できるのがわかるでしょう。それまでは、割合はもっと小さく「最低100万円」という返済額で固定されています。

(もちろん、100万円程度なら頑張れば返済できる人がほとんどだとは思いますが)

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1-2.給与所得者等再生の最低返済額

給与所得者等再生の方は「可処分所得、2年分」となっています。この「可処分所得」の内容は、下のようになっています。

  • 本人の「収入」から、
  • 「税金」と「生活維持費」を抜く

で「税金」の種類は、

  • 所得税
  • 住民税
  • 社会保険料

…など「公的な支払い、全般」です。で「生活維持費」は「家賃・食費」などです。

どのくらいが「維持費として妥当」かは、

  • その人の地域
  • 家族構成
  • 年齢
  • 健康状態
  • 職業

…などの諸条件によって、細かく決められます。ここではとりあえず「2014年の平均値」を見てみましょう。

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1-3.2014年の「生活維持費」の平均は、月17万2249円

日本人の2014年の「生活維持費」の平均は、総務省の統計では、17万2249円となっています。

何を持ってして「絶対必要」というかは難しいのですが、各項目の平均支出は、下の通りです。

項目 金額
食料費 60272円
住居費 19069円
光熱水道費 20129円
家具・家事用品費 8823円
被覆・履物費 10269円
保険医療費 11031円
交通・通信費 35080円
教育費 7576円
合計 172249円

で、これは「月間」の金額なので、「年間」にすると「206万6988円」となります。

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1-4.平均年収と、平均の税負担額は?

可処分所得は、

  • 「平均年収」から、
  • 「税金」&「生活維持費」を引くもの

です。で「生活維持費」はわかったので、あとは「平均年収」と「税金」を見るわけです。それぞれ書くと、

  • 平均年収…413万6000円
  • 税金・社会保険料…100万2420円

…となっています。それぞれ、

  • 平均年収…2014年、国税庁発表
  • 税金・社会保険料…2015年、マイナビ試算

のデータです。で、先の「生活維持費」と合わせて並べると、

項目 金額
平均年収 413万円6000円
税金・社会保険料 100万2420円
生活維持費 206万6988円

で、平均年収から下の2つを引き算すると、「106万6592円」となります。これが「日本人の平均の可処分所得」です。(2014年~2015年前後の)

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1-5.「給与所得者」の最低返済額は「212万円」

上の計算で「日本人の可処分所得=年間106万円」と出ました。そして、給与所得者等再生をする場合「可処分所得2年分」を、最低でも返済しないといけないわけです。

ということは「106万円」を2倍して、「212万円」ということですね。

(正確には「106万6592円」×2=「213万3184円」です)

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1-6.「小規模」の方が「100万円以上」安い

ここで一度、

  • 小規模個人再生
  • 給与所得者等再生

それぞれの「最低返済金額」を比較してみましょう。

  • 小規模個人再生…『100万円』or『5分の1』
  • 給与所得者等再生…『212万円』

こうしてみると、単純計算で小規模個人再生の方が、112万円安いといえます。「小規模個人再生の方が金額が小さい」ということはよく言われていましたが、ここまで差がつくと知っている人は、少ないでしょう。

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1-7.低所得者の場合、両者の差は「50~90万円」くらい?

ここで書いた計算は、あくまで「日本人の平均」です。多重債務者の方の場合、平均年収よりも低所得なことが多いので、

  • もっと「可処分所得」が小さくなる
  • 「給与所得者等再生」の方の返済額が小さくなる

ということは、存分に考えられます。しかし、上の単純計算で「112万円」の差だったので、もっと差が縮まったとしても「50万円~90万円の差」は、確実にあるでしょう。

あくまで目安ですが、これが「両者の最低返済額の差」と思ってください。

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1-8.補足「日本人の可処分所得の平均」

(これは正確を期すための補足なので、飛ばしていただいてかまいません)

上の試算では、「可処分所得=年間106万円」と出しました。しかし、総務省の「家計調査報告」では、「年間458万円」となっています。

【参考】http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/shihanki/zuhyou/sou.xls

あまりに金額が違いますが、この理由は、

  • 総務省の方は「生活費」を除外していない
  • 「税金」などを除外しただけ

…ということです。また、この統計(総務省によるもの)は国税庁の「平均所得」のデータより、平均所得が大きいこともあり、それも差が開く原因となっています。この違いは、

  • 総務省…「所得」の数字
  • 国税庁…「給与」の数字

…という違いでしょう。何が違うかというと、

  • 所得…自営業者などの「給与以外」の収入も含まれる
  • 給与…サラリーマンの「給与」だけ

ということです。普通は「所得」のデータを使うべきですが、ここでは「給与所得者等再生」の計算をしているので、「給与」の方を使いました。

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2.審査の厳しさ…「小規模」の方が厳しい

2-1.「小規模」は半数の反対があると、不可

個人再生をする人は、大抵「多重債務者」です。つまりキャッシング業者などの「債権者」が「複数いる」ということ。

このうち「半分」が反対したら「小規模個人再生」はできません。たとえば、

  • 債権者が「6人」いる
  • うち「3人」が反対

…という状態で「否決」されるんですね。

キャッシング業者などの側としてはできるだけ多く返済してほしいので、「この人はまだ支払能力がある」と判断した場合、「否決する」ことがあります。

逆に「この人は、もう支払能力がない」と判断したら「これ以上は時間のムダ」と考え、賛成してくれます。

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2-2.「給与所得者」は、認可が不要(必ずできる)

一方、「給与所得者」の方は認可を受ける必要がありません。正確に言うと「認可」の作業はありますがそれはほぼ誰でも通るものであり、「小規模」のような「業者による多数決」はないのです。

ということで「業者の対応が厳しい場合『給与所得者等再生』を選ぶ」ことになります。もちろん、冒頭に書いた通り「サラリーマン・公務員」などの給与所得がある人のみですが。

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2-3.最近は、異議を出す債権者が微増した

以前、このような「再生に反対する」(異議を出す)債権者はあまりいませんでした。LSC綜合法律事務所の弁護士・志賀貴氏によれば、

  • 政府系の金融機関
  • 東京スター銀行

くらいしか、異議を出すことはなかった、とのことです。しかし「最近は、異議を出す債権者が多くなってきた」ということで、以前よりも「小規模個人再生」を選ぶのが、難しくなっているかも知れません。

ただ「これは少々割り引いて」考えてください。というのは、

  • 書いているのは「弁護士」の方である
  • 弁護士は「仕事が増えた方が」嬉しい
  • そのためには「個人再生は、自力でやるのは難しい」と思わせた方がいい

…という部分があるからです。もちろん、とてもわかりやすい記事を書かれている事務所さんなので、そういう考えはないでしょう。しかし、弁護士という立場の方が書かれる文章の場合、こういう利害関係は常に意識すべきということです。

(これはどんな情報に触れる場合も同じですが)

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2-4.「借金総額の合計」も、半分以上でなければいけない

当然ですが、

  • 「賛成者」の人数が「半分以上」である
  • しかし「賛成者は全員、1万円しか融資していない」

…という場合、当然彼らの発言力はありません。これがOKだったら「議決権を握るための貸し手」を、わざと増やせばいいわけですからね。

ということで「人数」だけではなく「借入総額の合計」でも、半分を超えている必要があります。

なので、もし大部分の業者が賛成してくれても、「一番借入金額が大きい業者が反対」したら、「小規模個人再生」はできない場合もあります。

(このように「小規模」の方は、何かと条件が多いです。サラリーマン・OLの場合)

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2-5.補足「民事再生法」の該当部分

(これは補足のデータなので、飛ばしていただいてもOKです)

「小規模個人再生では、半数以上の賛成が必要」というのは、「民事再生法 第230条 6項」に書かれています。

第4項の期間内に再生計画案に同意しない旨を同項の方法により回答した議決権者が議決権者総数の半数に満たず、かつ,その議決権の額が議決権者の議決権の総額の二分の一を超えないときは,再生計画案の可決があったものとみなす。

簡単に書くと、

  • 期間中に、
  • 「私、反対です」という業者が、
  • 決められた方法でそれを伝えてきて、
  • それが「半数未満」で、
  • 彼らの「融資総額」も「全体の半額未満」だったら、
  • その個人再生は「OK」となる

…ということです。

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3.普通はどっちを選ぶ?…「小規模」

3-1.会社員・OLでも「小規模」を選ぶのが普通

基本的に、会社員・OLなどの「給与がある人」でも、「小規模」の方を選ぶのが普通。理由は言うまでもなく返済金額が小さくなるということです。

ここまで書いた通り「100万円以上違う場合」もざらにあるわけですから、「小規模」を選ぶのは、当たり前と言っていいでしょう。

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3-2.返済能力がない場合、大体OKになる

サラリーマン・OLが申告した場合も返済能力がなく、もう多くの返済は見込めないという場合、「小規模」の方での個人再生も、業者から認可されることが多いです。理由は、

  • 一人の債務者に、長期間かまっていられない
  • そもそも、金利に最初から「貸し倒れコスト」を含んでいる」
  • だから、多少減額しても痛手はない

…ということです。だからその人が会社員だろうと個人事業主だろうと返済能力があるかないかで、認可されるかどうかが決まる…と考えていいでしょう。

(無い袖は振れぬ、というやつですね)

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3-3.認可が面倒な場合、あえて「給与所得」でもいい

ある程度返済能力があって「業者全員からの賛成をもらうのが難しい」という場合―。面倒だったらあえて「給与所得者等再生」の方を選ぶというのもありでしょう。

これだったら、業者の認可をもらう必要がないからです。減額の幅は小さくなりますが、返済能力がある場合「どの道認可されない」ことも多いですから「ムダな手間を避ける」ためにも、この選択はありです。

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4.参考資料・一覧

この記事を書くにあたって、多くの資料・サイト・文献を参考にさせていただきました。使用した数字、書いているルールなど、全てに間違いがないことを、複数のサイト(もちろん、公益性・信ぴょう性の高いサイト)で確認しています。

個人再生に限らず、債務整理・キャッシング・消費者金融業全般について、研究されている方などの参考になれば幸いです。

4-1.給与所得者等再生の「最低返済額」の計算

4-1-1.最低返済金額(小規模個人再生)

  • 谷林・小川法律事務所「個人再生」
  • http://債務解決.jp/kojinsaisei.php
  • 「最低弁済基準」の表で、キャッシング総額ごとの最低返済額がわかる

4-1-2.最低返済金額(給与所得者等再生)

  • 個人再生.com「弁済額」(日比谷ステーション法律事務所)
  • http://www.kojinsaiseisoudan.com/個人再生の基礎知識/弁済額.html
  • 可処分所得要件の計算式」として、『(1年間の収入-所得税等-最低限度の生活費)×2=2年分の可処分所得』が書かれている

4-1-3.日本人の生活維持費の平均

  • 総務省統計局
  • 家計調査報告(家計収支編)―平成27年(2015年)7~9月期平均速報―
  • ページURL…http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/shihanki/
  • エクセルURL…http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/shihanki/zuhyou/sou.xls

4-1-4.日本人の平均年収

  • 国税庁長官官房企画課
  • 平成25年分「民間給与実態統計調査」(平成26年9月)
  • https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2013/pdf/001.pdf
  • P.12に「日本人の平均給与…平成25年、413万6000円」という数値がある

4-1-5.日本人の年間の税金額&社会保険料

  • マイナビスチューデント「日本人の平均年収400万円だと税金負担はどれくらい!? 結局手取りはいくら?」
  • https://gakumado.mynavi.jp/freshers/articles/10104?page=2
  • 「年収400万円」の場合の、税金・社会保険料が年間いくらかを、参考

4-1-6.給与所得者の最低返済額は、平均いくら?

  • 高島司法書士事務所「給与所得者等再生での可処分所得額の計算」
  • http://www.shihoushoshi.jp/kasyobun.htm
  • ページ最下部に、下のように書かれている。筆者の計算の「212万円」に近い

1年間あたりの手取り収入額が4,500,000円だと、計画弁済総額の最低額は2,158,000円となります。

4-1-7.低所得者の場合の、両者の方法の差は?

  • 参照元&URLは、同上
  • 最後の段落の始めの方に「年収400万円」なら「115万8000円」が最低返済額になるとある
  • ここから、当サイトは「年収200万円~300万円」の低所得者なら「50~90万円」と書いた

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4-2.審査の厳しさ…「小規模」の方が厳しい

4-2-1.「半数の反対」があると、小規模個人再生は不可

  • 八下田法律事務所「個人民事再生」
  • http://www.yageta-law.jp/site_debt/minjisaisei.html
  • 注意点の5番目に「小規模個人再生では反対する2分の1以上の額の債権者がいると認可されない」とある

4-2-2.「給与所得者等再生」は業者の認可がいらない

  • 個人再生相談.com「小規模個人再生と給与所得者等再生」
  • http://www.kojinsaiseisoudan.com/個人再生の基礎知識/小規模個人再生と給与所得者等再生.html
  • 「再生計画案の認可要件」>>「給与所得者等再生」に「債権者の同意は不要」とある

4-2-3.給与所得者等再生に異議を唱える業者が微増している

  • LSC綜合法律事務所「個人再生の給与所得者等再生とは?」
  • http://www.shakkinseiri.jp/kyuuyoshotokushasaisei/
  • 記事最下部に「近時は、債権者が異議を出してくることが多くなってきています」とある

4-2-4.「給与所得者等再生」に対する異議はほとんど出ない?

上のLSC綜合法律事務所の主張とは逆に「給与所得者等再生に対する異議は、ほとんど出ない」という主張もある。

  • 名古屋E&J法律事務所「個人再生とは」
  • http://www.nagoya-saimu.net/125/
  • 2段落目に、「小規模個人再生手続きにおいて債権者から異議がでることはほとんどありません」とある

このように意見が違うのは「ほとんど」という言葉の定義にもよる、と思われる。

4-2-5.「借入総額の合計」も半分を超えないといけない

  • 大阪地方裁判所・大阪家庭裁判所
  • 「5. 個人再生手続とは,どのような手続なのでしょうか?」
  • http://www.courts.go.jp/osaka/saiban/minji6/05/index.html
  • 「金額で半額以上の人が反対すると、その計画は認められません」とある

4-2-6.「給与所得者等再生の条件」を決めている条文

  • 法務省 法令データベース「民事再生法」
  • http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO225.html
  • 「第十三章 第一節 第二百三十条」に、給与所得者等再生が認められる条件が書かれている

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4-3.「小規模個人再生」を選ぶのが一般的

4-3-1.サラリーマンでも一般的に「小規模」を選ぶ

  • 平成25年度司法統計 第109表 再生既済事件数
  • http://www.courts.go.jp/app/files/toukei/496/007496.pdf
  • 2013年の件数で、「小規模個人再生…7980件」「給与所得者等再生…820件」となっている

4-3-2.返済能力がない場合、認可されやすい

  • 小林幹男(2009)『「貸せない」金融』角川SSコミュニケーションズ
  • キャッシング業者の金利は「貸し倒れのコスト込み」であることが、随所で触れられている(だから、回収できない場合は諦める態勢になっている)

4-3-3.業者の反対が予想される場合「給与所得」を選ぶのもあり

  • 教えて!個人再生「小規模個人再生と給与所得者等再生って、何が違うの?!」
  • http://saimu4.com/kojinsaisei/1146/
  • 「債権者の反対で否決されると予想される場合は、敢えて債権者の同意が不要の給与所得者等再生を選ぶこともある」と書かれている
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