ギャンブルは、キャッシングする理由の中でも特に多いもの。「ギャンブルのためにお金を借りてはいけない」というのは当然のことなので、あえて書く必要もないでしょう。
ここでは、「ギャンブルとキャッシングの関係」を、『サラ金全滅』(笠虎崇/2010年/共栄書房)などをもとに、考察していきます。
目次
- 1.なぜ、ギャンブルで借金してしまうのか?
- └1-1.お金を使う優先順位の一位が、ギャンブルになっている
- └1-2.本当に返済できない人は、100人中5人くらい
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- 2.ギャンブル破産者を出さないために
- └2-1.業者より、ギャンブルを規制した方がいいのでは?
- └2-2.「もう貸さないで欲しい」と家族に言われても…
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- 3.どうしたら、ギャンブルをやめられる?
- └3-1.「今までギャンブルで使ったお金で、何が買えたか」を考える
- └3-2.女性はギャンブルしない方が、幸せな恋愛・結婚をできる
1.なぜ、ギャンブルで借金してしまうのか?
1-1.お金を使う優先順位の一位が、ギャンブルになっている
『サラ金全滅』のP.128~129には「元サラ金社員」の証言が載っています。それによれば「多重債務者の中で、本当にお金がない人は、ほとんどいない」とのこと。彼らがお金を返済できない理由は「お金を使う優先順位が間違っている」ということなんですね。
- 1.ギャンブル
- 2.女性
- 3.酒
- 4.返済
…という順位になっているのです。本来「返済」が真っ先に来なくてはいけないのですが、それが上のようになっているんですね。もちろん、「1位…女性」とか「1位…酒」ということもあるでしょう。要は「間違った使い道がトップ」ということです。
1-2.本当に返済できない人は、100人中5人くらい
同じページにはそのサラ金社員の「本当に返済ができない人は、100人のうち5人くらい」という言葉も載っています。これは、著者の笠虎崇氏の他の著作を呼んでも確かにそのくらいですし、『実録!取り立て』(宝島社)などの本を読んでも大体共通する印象です。
ということで、「返そうと思えば返せる」というのは、確かに事実なのでしょう。
ギャンブル依存症の人にとっては、むしろ明るい話
しかし、このサラ金(中小の消費者金融)元社員の証言は、ギャンブル依存症の方にとってはむしろ良い話です。というのは「借金というのは、大抵の場合、返そうと思えば返せる」「ただ、優先順位が間違っているだけ」ということだからです。
つまり「才能がない」わけではないんですね。「気持ちの問題」ということです。もちろん、「気持ちというのは簡単に操作できないから難しい」…という考え方もできるでしょうが…。
何はともあれ、才能とか職業の問題で返済できないのではなく、ただ1つ「ギャンブル・酒・クラブ通いなどをやめてでも、絶対に借金を卒業する」という意識があるかないか、ということなんですね。
ある意味それも才能なのかも知れませんが、何はともあれ「まずは気持ちが一番大事」ということを、強く意識してください。
2.ギャンブル破産者を出さないために
2-1.業者より、ギャンブルを規制した方がいいのでは?
この『サラ金全滅』の著者・笠虎崇氏は、元アイフルのトップセールスマンですが、他の著書でも「多重債務者を減らしたければ、ギャンブルを規制するべき」という提言をされています。実際、私もパチンコ屋でアルバイトしていた経験からそう思います。
実は、「アイフル社員の強迫的な取り立てテープ」(実は無罪だったことが2009年に判明)がマスコミで連日報道されていた2006年頃、テレビは消費者金融のCMを自粛するようになりました。しかし、代わりに何のCMが流れたかというと、パチンコ屋です。
基本的に、キャッシング会社にしてもパチンコ屋にしても、「あまりイメージがよろしくないジャンル」の方が、お金の流れが良いんですね。また「イメージが良くない業界だからこそ、テレビCMによってイメージを改善したい」という狙いがあるので、大きなコストを投じてでも、テレビCMを流そうとしてくれるのです。
ということで、テレビ局にとって、カードローン業者・パチンコ屋などは「高い広告費を払ってくれる、上客」なのです。だから、キャッシング業者の宣伝が自粛されるようになると、代わりにパチンコ屋のCMが増えるわけですね。
「これでは何の解決にもならない」というのが、笠虎崇氏はじめ、多くの知識人・業界人の主張です。アイフル・プロミス・アコムなどの大手の消費者金融のCMが規制されても、借金の原因になっているパチンコ屋の利用が促進されている限り、結局彼らはヤミ金でも何でもいいので、どこかから借りようとするでしょう。
ギャンブル依存症は「本人が悪い」という部分も確かにありますが「外部環境による原因」も間違いなくあるんですね。もし国やメディアが本当に「多重債務問題を解決したい」と思っているのであれば、笠虎崇氏が指摘する通り「ギャンブルも同時に規制しなければならない」のです。
2-2.「もう貸さないで欲しい」と家族に言われても…
ギャンブル依存症で借金している人の場合、よく家族から「もう、融資しないでほしい」という依頼の電話が、よくカードローン会社にも寄せられるそうです。(この『サラ金全滅』にも書かれています)
しかし、これはできないんですね。確かに、日本貸金業協会は「貸付自粛制度」という、「本人が希望しても、融資しないようにする制度」を持っています。
しかし、これは「本人が申し込みしないといけない」んですね。家族ではダメなのです。家族といっても法律的には所詮他人なので、「他人の経済活動を、不当に制限する」ということになってしまうわけです。そのため「貸付自粛制度は、本人が申し込んだ場合のみ、適用できる」というルールになっているのです。
そのため、もし家族が「もう、うちの太郎に融資しないようにしてほしい」と思うのであれば―。
- 太郎と家族で話し合う
- 太郎本人から、貸付自粛制度を申し込むようにする
…という手順を踏む必要があります。もちろん、この話し合いはある程度苦労するでしょう。しかし、太郎がギャンブル依存症になったのは、家族間のコミュニケーション不足など、あらゆる原因があったはずです。そこから解決しない限り、いつまでも太郎のギャンブル依存症は治らず、借金癖も治らないでしょう。
ということで、やはりまず基本中の基本の「家族での話し合い」が必要なんですね。ここから逃げることはできないのです。
3.どうしたらギャンブルをやめられる?
3-1.今までギャンブルに使ったお金で、何が買えたかを考える
『サラ金全滅』のP.126~127には「借りる人」の方の証言も登場します。つまり「ギャンブル依存症で、借金している人」の証言です。
この女性はすでにギャンブル依存症が治ったのですが、彼女がこの症状を克服できた理由の1つに「ギャンブルで失ったお金で、何を買えたかを考える」という努力があったそうです。『あの金で何が買えたか』というベストセラーが昔あって、これは国家予算について書いたものですが、この「何が買えたか」というのは、お金の使い方を合理的にする上で、かなり重要な思考なんですね。
この女性はそうやって「ギャンブルをしていなければ、欲しいものがたくさん買えた」ということを実感し「それを買いたいという気持ち」のために、ギャンブルを卒業できたそうです。つまり、「やってはいけない」という禁止する気持ちよりも、「あれを買いたい」という、プラスの気持ちによって、依存症を克服した…ということですね。
この「より楽しい方向に向かっていく」というのは、自分のモチベーションをコントロールする上で、大きなヒントになるでしょう。(ギャンブル依存症の人でなく、普通の人の場合でも)
3-2.女性は、ギャンブルをしない方が、幸せな恋愛や結婚をできる
この女性のインタビューの中で特に「女性ならでは」の視点だと思ったのは、「ギャンブルをやめた方が、女性は恋愛も結婚も幸せにできる」というものです。女性にとって、この「恋愛や結婚の幸せ」というのは、男性以上に重要なものらしく、「そこに訴える」というか「それを本人が実感した」ということが、ギャンブル依存症を卒業する上で、大きかったらしいんですね。
この点は、特に家族や友達がギャンブル依存症の時、その人が女性だったら、効果的な視点かも知れません。カウンセラーの方なども含めて、「治療・誘導する側」の人は、ぜひヒントにしていただけたらと思います。
以上、キャッシングとギャンブルの関係についてまとめました。ギャンブルや借金の癖を克服したい人、あるいは家族に克服させたい人などに、参考にしていただけたら幸いです。