カードローンの返済で遅れると解約される―、ということはありません。正確に書くと―。
- 1ヶ月以上の長期延滞になると、強制解約になることもある
- 普通の遅延・延滞で、解約されることはまずない
- ブラックリスト入りするのは61日以上の延滞から
- 遅れた時点で、業者にはいつでも「一括返済する権利」がある
目次
- 1.1ヶ月以上遅延すると、解約されることもある
- └ 1-1.解約される前に、かなりの回数督促が来る
- └ 1-2.返済できなくても、態度が真摯なら解約はない
- └ 1-3.無理な約束をするより、相談した方がいい
目次
1.1ヶ月以上遅延すると、解約されることもある
1-1.解約される前に、かなりの回数督促が来る
当然ですが、遅延によって解約される前に、相当な回数の督促が来ます。流れを書くと―。
- 返済日の翌日か数日後
- 前回の督促で約束した、再支払日
- さらに再度約束した、支払日
…という風です。3度目の支払日でもなお遅れた場合―。
- 一括返済
- 強制解約
のどちらかを、消費者金融やクレジットカード会社がちらつかせる…ということもあります。ただ、これは「基本的にちらつかせるだけ」で、本当にやることはめったにありません。理由は―。
- 返済してくれるのであれば、業者としてもむしろ借り続けてほしい
- 逆恨みされて、悪い評判を流されると困る
- 担当の社員さんも人間なので、できれば利用者には喜んでほしい
…ということです。最後の1つは、消費者金融に対して悪いイメージを持っている人だと「キレイ事」と感じるかも知れませんが、事実です。この辺は、『督促OL』などの、実際に回収の現場に立っている人のエッセイを読むと、よくわかるでしょう。
…というように、遅延によって強制解約される前に―。
- かなりの数の督促と、支払日の約束がある
- そのどれかで支払っておけば、解約はない
…ということです。そして、普通の人は基本的にこの期間内で大丈夫です。
1-2.返済できなくても、態度が真摯なら解約はない
もしこれらの「再支払日」でもずっと返済できなかった場合―。これも態度がまじめであれば、解約はしないでもらえることが多いです。
これについては「まじめな不利をしていればいい」ということではありません。向こうは毎日多数の多重債務者に取り立てをしているので―。
- 真面目な人は、どういう受け答えをするか
- 演技をしている人は、どこにそれが現れるか
…ということを、体験的にわかっています。そのため、たとえ電話越しでも演技や嘘は絶対にバレます。
そもそも、何度も約束した支払日に遅れるという時点でもうその人は、キャッシングをしない方がいい段階に来ています。だから、少々冷たい言い方かも知れませんが「解約された方がいい」かも知れません。
(実際、私もクレジットカードの強制解約になって、後にそう思ったので体験から語っています)
で、演技をしているような人でなく―。
- 本当にやむを得ない事情で借りた
- やむを得ない事情で返済できない
…という場合は、督促の担当者にもそれは伝わります。そのため、強制解約までは行かない…ということもあります。ただ、そもそも、お金を借りる人でそういう真面目な人自体が少ないというのが現実なので、こういうケースは私もあまり知りません。
(消費者金融の取材をすればするほど、多重債務者の人で善良な人は少ない、ということを実感します)
1-3.無理な約束をするより、相談した方がいい
お金を借りる人は誤解していますが、消費者金融の社員さんというのは、決して利用者の敵ではないのです。彼ら・彼女らはあくまで「仕事として、返済してほしい」だけです。そして―。
- 最終的に元本&利息を払ってくれれば問題ない
- 多少遅れても、その分延滞利息を払ってくれるなら、問題ない
- その予定がしっかりわかるなら、さらに問題ない
…ということです。つまり、彼らは「相談してほしい」んですね。当初の予定日に返済できないなら―。
- 今、どういう状況なのか
- いつなら確実に返済できるのか
- お金はどうやって用意するのか
- さらにその先の見通しはどうなのか
…ということを、細かく聞かせてほしいのです。それさえ聞かせてくれれば、消費者金融やカード会社の社員さんとしても「問題は何もない」んですね。
返済に遅れた人々が、消費者金融・カード会社とトラブルになるのはこういう報告をしっかりしないからなのです。
2.ブラックリスト入りするのは「61日以上の遅延」から
2-1.業者・銀行よって日数は違うが…
ここまで書いた通り「普通の遅延・延滞で、強制退会にはならない」ということがわかった―。では、ブラックリスト入りするのは、何日の遅延からなのか?というのが気になるでしょう。このポイントをまとめると―。
- ブラックリストとして報告するかの判断は、業者・銀行に任されている
- つまり、業者・銀行によって日数は違う
- ただ、大体「61日以上」である
- 少なくとも、CIC(シーアイシー)の公式基準は「61日以上」
…ということです。
2-2.CICの公式基準は「61日以上」
CIC(シーアイシー)は、主にクレジットカード系・消費者金融系の信用情報を管理しています。で、ここの公式サイトでは、61日以上でブラックリスト入りするというのが明記されています。(引用すると下の通りです)
異動情報とは、「約定返済日より61日以上または3ヶ月以上支払が延滞しているもの」を指します。
この通り「61日~3ヶ月」というラインから、ブラックリスト入りするということですね。つまり―。
- 3ヶ月を超えたら絶対
- 61日(2ヶ月)を超えたあたりから、危ない
…ということです。もちろん「3ヶ月も絶対」というわけではありません。ごくまれにですが、「3ヶ月以上遅延していても、ブラックリスト入りしていなかった」という体験談も見られます。
(多重債務から立ち直ったことで有名な「吉田猫次郎氏」の著書でも、読者から寄せられたそういう投稿がありました)
ということで、CIC(シーアイシー)の基準も「絶対に確定」しているわけではなく「最終的にはケースバイケース」なのですが、「大体61日からん3ヶ月」がボーダーラインと思ってください。
2-3.もっと短い日数でも、悪質ならブラック入りする
先に書いた内容はこの「逆」もあります。つまりもっと短い日数の遅延でも、ブラックリスト入りすることがあるということです。その条件をまとめると―。
- 督促電話を何度も無視した
- 督促電話に対する態度が横柄だった
- 何らかの虚偽の申告をしていた
…などです。要は「明らかに悪意があった」あるいは「明らかに普通じゃなかった」ということですね。
逆に言えば「普通に返済&利用している分には、何も問題ない」わけです。これは「警察に捕まらずに生きていく方法」と同じで「そんなもの、普通にしていればいい」というだけなんですね。
(もしこんなタイトルの本が出版されたら、それはそれでネタとして面白いかも知れませんが。笑)
3.強制解約の記録は、何年残るのか?
キャッシングでもクレジットカードでも、強制解約・退会の記録は「5年」残ります。3つの個人信用情報機関のどれでも、同じ期間です。
ただ、それぞれの根拠がはっきり示されていないサイトがほとんどなので、ここでは根拠をはっきり引用して、紹介していきます。
- 3-1.CIC(シーアイシー)…5年
- 3-2.JICC(日本信用情報機構)…5年
- 3-3.KSC(全国銀行個人信用情報センター)…5年
3-1.CIC(シーアイシー)…5年
まず、下のURLを見るとCICで保管されている個人信用情報の記録期間が、すべてわかります。
http://www.cic.co.jp/confidence/posession.html
で、この中で「強制解約」に該当するものは、「クレジット情報」の「お支払状況に関する情報」というものです。このセクションに該当する情報を一覧にすると―。
- 報告日
- 残債額
- 請求額
- 入金額
- 入金履歴
- 異動(延滞・保証履行・破産)の有無
- 異動発生日
- 延滞解消日
- 終了状況
…となっています。で、強制解約にあたるのは―。
- 異動
- 異動発生日
の2つです。それぞれ―。
- 強制解約された事実
- その日付
…ということですね。
なぜ「異動」というのか?
これは「最初の契約と異なった状態になった」という意味です。「異なる状態に動いた」ので「異動」なんですね。「移動」とは意味が違うわけです。
で、こういうトラブルは「返済事故」ともいうので、別名で「事故情報」とも言います。
ということで、強制解約の記録はこの部分に含まれるのですが、CICでは、この部分の情報(さっき一覧にした情報)は「すべて5年間」保管しています。(引用すると、下の通りです)
契約期間中および契約終了後5年以内(*表なので、これだけの簡結な一文)
…という理由から、「強制解約の記録は、CICでは5年間残る」といえるのです。
3-2.JICC(日本信用情報機構)…5年
JICC(日本信用情報機構)の場合、下のURLで、すべての個人信用情報がどれだけ記録されるかが、一覧になっています。
http://jicc.co.jp/whats/about_02/index.html
で、このページの中の「取引事実に関する情報」の部分に「強制解約」が書かれています。期間について引用すると、下の通りです。
当該事実の発生日から5年を超えない期間
5年を「超えない期間」と書かれているので「最長でも5年」ということですね。JICCの場合「5年より短い期間で、記録が消滅する」ということもありえるわけです。
3-3.KSC(全国銀行個人信用情報センター)…5年
KSC(全国銀行個人信用情報センター)も「5年」です。KSCもやはり、下のURLで「すべての信用情報の管理期間」が一覧できます。
http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/
で、この中の「取引情報」が「強制解約」に該当します。「強制解約・退会」などの単語はありませんが―。
- 他の部分で、近いものがない
- 「強制回収手続き等の事実を含む」と書かれている
…ということで、KSCでも「強制解約は、この取引情報のジャンルに含まれる」ということです。で、その登録期間を見ると、下のように書かれています。
契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間
少々長いですが、これもJICCと同じく「5年より短い期間」ということですね。つまり「もっと早くブラックリストが解除される」ということもありうるわけです。
…以上、3つの個人信用情報機関の「強制解約が記録される期間」をまとめました。キャッシングの情報サイトのほとんどは「どのURLからこの情報を持ってきたのか」が書かれていませんが、ここで紹介した通りのURLに書かれているので、はっきり事実を確認したいという方は、それぞれのページでご覧ください。
4.強制解約になるとどうなるのか?
- 4-1.その会社・銀行では半永久的にブラック
- 4-2.系列の業者・銀行でも、かなりの長期間ブラック
- 4-3.「ペナルティの罰金」は特にない
4-1.その会社・銀行では半永久的にブラック
強制解約になると、そのカードローン会社や銀行などでは、半永久的にブラックリストとなります。「半」とつけたのは「永遠は、ブラックリストでも国家の繁栄でも、人間の愛情でも、すべてにおいて存在しない」という哲学的理由からであり、実際には「ほぼ永久」と思ってください。
「普通、強制解約された会社で申し込みしたりしないだろ」と思うかも知れませんが、これが結構いるのです。多重債務者の方々や、強制解約を2回以上食らう人というのは、やはりどこか頭のネジがずれているものです。
(強制解約1回だけなら、割と普通の人でも体験していると思いますが、2回はやはり変わったパターンです)
…というように「強制解約されても同じ会社で審査を受ける」という人はそうそういないとは思いますが、一応「半永久的にブラック」ということは書いておきます。
4-2.系列の業者・銀行でも、かなりの長期間ブラック
また、その業者・銀行は当然ですが、系列の業者・銀行で申し込みする場合も、やはり「かなりの長期間、審査に通らない」と思ってください。系列というのは、たとえば
- SMBCグループ…SMBCモビット・プロミス・三井住友カード
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ…アコム・ニコス
- SBI新生銀行グループ…レイク・ノーローン
などです。他にも「みずほ銀行・オリコ」などの組み合わせが有名ですが、このようにグループ内で情報が共有されているところは、「どこかでブラックリスト入りすると、すべてでブラックリスト入りする」ということを知っておいて下さい。
(グループの仕組み自体は理解できると思いますが、どことどこがグループか、という情報として)
4-3.「ペナルティの罰金」は特にない
強制解約・退会になると、「違約金」など、ペナルティの罰金が課される…という噂(評判)もあるようです。しかし、これは基本的にありません。少なくとも大手のクレジットカード会社や消費者金融・銀行カードローンではない…と考えてください。
実際、私もある大手のクレジットカードで強制解約を食らいましたが、「延滞損害金」以外は何もありませんでした。これは強制解約にならなくても「遅延したら、常に発生する損害金」です。なので、強制解約になって、違約金がうんぬん…ということではありません。
4-4.クレジットカードの「国際ブランド」に注意
先に書いた「系列・グループ」とも似た話題ですが、クレジットカードの強制解約の場合「国際ブランド」に注意する必要があります。国際ブランドというのは―。
- VISA
- MASTER
- JCB
- AMEX
などのブランドですね(種類と言った方がわかりやすいかも知れません)。
たとえば「VISA」の場合、管理している大本はVISAでも、クレジットカードとしては―。
- 三井住友VISAカード
- 楽天KC・VISAカード
…という風に、いろんなカード会社が「VISAカード」を出しています。で、たとえばこの中の「楽天KC・VISAカード」で、強制解約になったとしましょう(私ですが)。
そうすると、VISAカード全般の審査で、半永久的にブラックということもあり得ます。これは「同じ楽天の中」ほど長い期間ではありませんが、「かなりの長期間になる」と思ってください。
どのくらいになるかは、正直わかりません。
- 「その内容」によるし
- 「そのブランド」によるし
- 「その会社」によるし
- 「その後のその人の状況
…にもよります。要するに「あらゆる条件で、総合的に決まる」ので、一概に「いつまで」とはいえないわけです。しかし―。
- とりあえず、相当厳しい
- 他のブランドで申し込めばいい
- 海外でも便利なブランドなら、「VISA・MASTER」の2種類がある
- どっちかで審査に通れば大丈夫
…ということは言えます。ちなみに、もし「VISAもMaster Cardも両方強制解約になった」という人がいたら、その人は最低5年はクレジットカードを作らない方がいいでしょう。
(消費者金融やクレジット産業の研究をしていて私が実感するのは、ブラックリストというのは誰よりも「利用者本人のためにある」ということです)
以上、返済に遅延したら、カードローンを強制解約になるかという疑問についてまとめました。返済に遅れそうな人は、参考にしていただけたら幸いです。
5.参考文献&サイト一覧
- 吉田猫次郎(2005)『ブラックリストなんて怖くない』宝島社
- 2005年の本で少々古いが、個人信用情報機関のルールは変わっていないので、今でも通じる
- 榎本まみ(2012)『督促OL 修行日記』文藝春秋
- 回収担当の社員さんたちの、心情について参考
- CIC「割賦販売統計データ」
- http://www.cic.co.jp/statistical/credit.html
- 延滞の記録について「61日~3ヶ月以上」と書かれている
- CIC「CICが保有する信用情報」
- http://www.cic.co.jp/confidence/posession.html
- それぞれの情報ごとに、どれだけの日数・年数残すかの一覧
- JICC「登録内容と登録期間」
- http://jicc.co.jp/whats/about_02/index.html
- CICと同じく、すべての信用情報の登録期間一覧
- KSC「センターの概要」*大段落3つ目「情報の登録期間」参照
- http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/
- KSC(全国銀行個人信用情報センター)全体の紹介と、登録情報&期間