消費者金融でもクレジットカードでも、あるいは銀行カードローンでも、借りたお金は「すぐ返す」が基本です。ここでは「早期返済」がどれだけ重要かをまとめます。
目次
- 1.借金は「稼いで、すぐ返す」が基本
- └ 1-1.暴利でも、翌日返済すれば利息は小さい
- └ 1-2.沖縄の商店街では、トイチを普通に利用している
- └ 1-3.「すぐ返す」には「日銭」が必要
- └ 1-4.初期の消費者金融は、日銭がある人にしか貸さなかった
- └ 1-5.お金を借りたら、日払いのアルバイトを探そう
- └ 1-6.心理学的に、一度見たものには反応しなくなる
- 2.日払いのアルバイトの注意点
- └ 2-1.日払いでもらえるのは、大体5000円まで
- └ 2-2.風俗系・水商売系は全額もらえる
- └ 2-3.「日払い」と「スピード払い」の違い
- └ 2-4.電話で言っていた条件と違うことが、よくある
- └ 2-5.「ブラックバイト」に注意する
- 3.「体を壊す」ほどのバイトは、絶対にしない
- └ 3-1.借金地獄に陥る最大の原因の一つ
- └ 3-2.体さえ健康なら、最悪自己破産すればいい
- └ 3-3.体を壊すと、その後の人生がずっと限定される
1.借金は「稼いで、すぐ返す」が基本
1-1.暴利でも、翌日返済すれば利息は小さい
トイチというのは「10日で1割」の利息を取るヤミ金融のこと。『ナニワ金融道』でトイチの銭田摺次郎(せんだすりじろう)という悪役が登場し、一躍有名になりました。
しかし、この「ヤミ金融の代名詞」になっているトイチですら、「翌日返済したら、ほとんど利息がかからない」んですね。たとえば「5万円」を借りた場合、翌日返済した場合の利息は「500円」なのです。
もちろん、たとえワンコインでも「10日で1割」なわけですから、通常のキャッシングに比べたら「相当高い」のは確かです。しかし―。
- これによって仕入れをする
- 仕入れた商品を売って、その日中に現金が入る
…という自営業の人などの場合―。
- 500円の利息はどうってことない
- むしろ、その日の仕入れの資金が簡単に手に入り、ありがたい
1-2.沖縄の商店街では、トイチを普通に利用している
実際、沖縄の「国際通り」などの有名な観光地では、商店街の「おばちゃん」たちが、普通にトイチを利用しています。(これは、『貸せない金融』などの書籍にも書かれています)
彼女たちがなぜトイチを利用するのかというと、上にも書いた通り「仕入れ」のためです。たとえトイチという暴利であっても―。
- 観光シーズンだったら、1日でガンガン稼げるから、500円くらい問題ない
- それより、仕入れの現金がたくさん欲しい
- しかも、ヤミ金融は直接現金を渡しに来てくれて、集金(回収)もしてくれる
ということです。これを『貸せない金融』では―。
取り立てサービス(?)も良いようだ。
と、冗談を交えつつ書いていましたが、本来悪いこととされている「ヤミ金の取り立て」が、この沖縄の商店街では「便利な集金サービス」になっているんですね。「自分で銀行に振り込みに行かなくてもいい」からです。
(一人でお店を切り盛りしている店主の場合、シーズン中は振り込みに行く時間すら惜しいのです)
…と、沖縄の話が少々長くなりましたが、実際このように「ヤミ金融が普通に、庶民の生活と一体化している」という世界もあります。それができる理由は「すぐに返済する」&「日銭が入る」からです。
1-3.「すぐ返す」には「日銭」が必要
この沖縄の例は、普通のサラリーマン・OLの人の場合、真似するのは難しいです。言うまでもなく、サラリーマン・OLの場合「給料日が決まっている」からですね(フリーター・アルバイト・パートの人などもみんな同じです)。
確かに「すぐ返済する」なら、トイチでも問題ないわけです。しかし、実際にはすぐ返済できない。給料日が月一しかない。だから、トイチで借りてはいけないということなんですね。
高利貸しからお金を借りる場合「日銭=一日単位の収入がある」というのが条件なのです。だから、昔のもっと高金利だった頃の消費者金融は「日銭が入る自営業者にしか、融資しない」という方針の店が多くありました。
1-4.初期の消費者金融は、日銭がある人にしか貸さなかった
今は倒産してしまいましたが、2009年頃まで東北地方を代表する中堅消費者金融で「ユニワード」というキャッシング会社がありました(本拠地:岩手県)。このユニワードは古くから盛岡で営業していた老舗ですが、初期は―。
- サラリーマンには融資しない
- 自営業者のみに融資
…という方針で経営していました。上にも書いた通り「自営業者なら、日銭が入る」という理由です。昔の消費者金融は上限金利(法定金利)が「109.5%」という、今では完全にヤミ金融レベルの高利だったので、このように「問題なく返済できる人」だけに絞って融資していたわけですね。
この例を見ても、やはり「日払いの収入を得て、すぐに返済する」ことが大事…というのがわかるでしょう。業者側でも「それが大事」「そういう人にだけ融資する」という方針でいたわけです(初期の消費者金融は)。
1-5.お金を借りたら、日払いのアルバイトを探そう
このような消費者金融の歴史や、沖縄の例を見ても「日払いの仕事」が借金返済でいかに重要かわかるでしょう。お金を借りたら、できるだけ日払いのアルバイトを探して早期返済する…ということをおすすめします。
もちろん現時点で会社に勤務しているという人の場合、少々難しいでしょう。フリーターの人でも、シフトがすでにいっぱいの場合、なかなか難しいものがあります。
ただ、そうして借金完済が「1ヶ月先」になると、人間は下のようなパターンでキャッシング漬けになっていくものです。
- 1ヶ月の間に、また何かでお金が必要になる
- 「給料日まであと1週間だからいいか」と、多めに借りてしまう
- 借入残高が多くなるので、利息も高くなる
- しかし、一度「大きい借入残高」を見たので
- 「小さい借入残高」を見ても、「たくさん借りている」という危機感がない
- その後も借り入れを繰り返し、いつの間にか全然減らなくなっている
…ということです。「すぐ返す」ことの利点は「その分、利息が小さくなる」というのもあるのですが、もう一つ「大きい借入残高を『見ないで済む』こと」が大きいのです。この「見ない」というのが大事なんですね。
1-6.心理学的に、一度見たものには反応しなくなる
人間は何でも「見慣れて」しまうものです。「大きい借金残高」に限らず「一度見たものには、反応しなくなる」んですね。反応しなくなる科学的な理由は、下の通りです。
- 何かに「反応する」ことは、それだけ神経を消耗する(カロリーやビタミンも消費する)
- つまり「ムダな反応」はしない方がいい
- よく見ているもの、触れているものは「どうでもいい」と判断する
- そうして切り捨てて、「新しいもの」に対して、神経を集中させていく
…ということです。実際、読書でも特定のジャンルで何冊も読んでいると「ここは読まなくてもいい」という部分が増えてきます。こういう「見慣れたものを切り捨てる」というのは、合理的な作業なのです。
ただ、この原理が「大きなキャッシング残高を見慣れてしまう」ということになると、弊害があるんですね。借金をすぐに完済することは「大きい借金の数字を見ない」という点で、科学的・心理学的にもメリットがあるのです。
2.日払いのアルバイトの注意点
2-1.日払いでもらえるのは、大体5000円まで
実は、日払いのアルバイトの仕事は、その日給を「全部その場でもらえる」わけではありません。大体、上限5000円くらいというルールになっています。
たとえばその日に「8000円分」働いたとしたら―。
- そのうち、5000円のみ日払いでもらう
- 残りの3000円は、1ヶ月まとめて後でもらう
…ということです。会社やお店としては「できるだけ、給料を払うのは遅らせたい」ので、これは当然ですね。また、日払いでお金が必要になる時でも「とりあえず、5000円あればいいでしょ」という、会社側の判断です(確かに、とりあえず死ぬことはないでしょう)。
2-2.風俗系・水商売系は全額もらえる
一方、風俗系・水商売系のお仕事は「全額その日中にもらえる」ということが多いです。でないとみんな辞めてしまいますからね。
ただ、これも主に「女性の場合」で、ホストなど、男性の水商売の場合は、なんだかんだで払ってもらえないというのが普通です。これは私も実際にホストをやっていたことがあるのでわかります。(ホストは店からひたすら搾取されるのが普通です)
男性が日払いのアルバイトをするなら、運送会社やパチンコ屋のアルバイトなど、肉体労働系の方が断然稼げます。もっとも、最近はこれらの職業でも「日払いでなく、週払い」というパターンが増えているようですが…。
2-3.「日払い」と「スピード払い」の違い
- 日払い…必ず「その日中にもらえる」とは限らない(翌日以降の可能性も)
- スピード払い…必ずその日中にもらえる
…というのが違いです。前者の「日払い」については―。
- お給料は、毎日計算しますよ
- でも、手続きに時間がかかるので、数日待ってね
…ということです。特に派遣会社などの場合「登録いただいているスタッフさんの人数が多いので、少々集計に手間がかかります」などと言われ、数日後になることがよくあります。
もちろん、数日後でも週払いより早いし、まして1ヶ月払いよりは断然いいでしょう。しかし「どうしてもその日中にお金が必要」という場面では、これでは困ります。
ということで「必ずその日中にお金が必要」という時は「スピード払い」のアルバイトに絞るようにしましょう。
(求人広告でわからなかった場合、電話して直接質問しましょう)
2-4.電話で言っていた条件と違うことがよくある
ちなみに、電話口では「スピード払い」と言っていたのに、いざ面接に行くと「最初の3ヶ月は研修期間で、その間は週払いになります」等と言われることもあります。「求人広告の内容と、面接で伝えられる内容が違う」というのはアルバイトの常識ですが、特に「日払い」の場合はそれが多いです。
理由は簡単で―。
- 日払いのアルバイトに申し込んでくる人は「切羽詰っている」
- つまり「ゆっくりアルバイトを探す」時間も余裕もない
- 面接まで来てもらえば、そのまま働いてもらえる可能性が高い
- だから、求人広告や電話ではいい条件を提示する
- 実際の条件は、面接で初めて伝える
…ということです。これが普通のアルバイトだったら、申し込み者の方にも「仕事を選ぶ余裕がある」ので、「こういう姑息な手段を使うお店には、来てくれない」わけですね。
人間の交渉で「時間がある方が有利、ない方が不利」というのは、鉄則中の鉄則なのです。この点は、ビジネスの交渉でも日払いのアルバイトの応募でも同じなので、よく意識しておいてください。
(時間に余裕のない人生を送るというのは、何かにつけて不利なのです)
2-5.「ブラックバイト」に注意する
もし面接で違和感を覚えたら「ブラックバイト」の可能性もあるので、注意してください。ブラックバイトというのは、ブラック企業の「アルバイト版」で、アルバイトの人を、正社員よりもハードな仕事で飼い殺す…というものです。
最近は非正規雇用が当たり前になっていて「アルバイトでしか働けない」というフリーターの方もたくさんいます。そういう人の弱みにつけこんで「うち辞めても、ますます不利になるだけだよ?うちで働くしかないよ?」と言って、重労働をどんどん押し付けるわけですね。
あまりに生活がハードになると、人間は考える余裕をなくして「思考停止」してしまうので、こういうブラックバイトにも甘んじてしまうのです。そして、このような「ブラックバイト」を押し付ける会社・商店の特徴として「求人広告と面接で、言っていることが違う」という点が上げられます。
なので、もし面接でそういう違和感を覚えたら、かなり警戒してください。もちろん、急いでいる時にはそこで断る余裕もないかもしれませんが、「警戒して仕事に臨む」のと「無警戒で臨む」のでは、騙されるリスクに、天と地の差があります。
3.「体を壊す」ほどのバイトは、絶対にしない
「日払いのアルバイトをして、すぐに借金完済する」―。というのはとてもいいことなのですが、「体を壊すほどのアルバイト」は、絶対にしてはいけません。ここでは、その理由を説明していきます。
3-1.借金地獄に陥る最大の原因の一つ
特にフリーター・アルバイトの人の場合「体を壊して働けなくなる」というのが、借金地獄に陥る最大の原因の一つなのです。フリーターの人の仕事は、ほとんど肉体労働なので―。
- 体を壊す
- 働けなくなる
- 一気に無収入になる
…というパターンで、借金地獄が急激に加速するんですね。普通に仕事さえできていれば、多少キャッシング残高が多くても、人間は返済できるものなのです。しかし仕事自体ができなくなったら、完全にアウトなんですね。
フリーターの人というのは、スキルが蓄積できるような仕事を任されていないので、肉体労働ができなくなった時点で、もうよそで活かせるスキルがほとんどありません。そのため、就職どころか「次のバイトを探す」こともできないことが多いのです。
(というより、腰を痛めたりすると、職業安定所に歩いて行くことすら難しくなったりします)
このように「体を壊すほどのアルバイト」は本当に危険です。なので、「多少借金完済が先延ばしになってもいいので、まず健康第一」ということを意識してください。
3-2.体さえ健康なら、最悪自己破産すればいい
体さえ健康だったら、極端な話「最悪、自己破産すればいい」のです。自己破産のデメリットなど、ハッキリ言ってほとんどゼロです。自己破産のデメリットを箇条書きすると―。
- 自宅・自動車などの財産は没収される
- 弁護士・宅建主任などの資格が必要な仕事が、約半年感できない
- 官報に名前が掲載され、それを見たヤミ金融からDMなどが殺到する
- 5年~10年、新しいクレジットカード・キャッシングの審査に通らない
…というくらいです。しかし―。
- フリーターなら、自宅など持っていない
- フリーターで自己破産するレベルの借金をした時点で、車を持つべきではない
- ↑(遅かれ早かれ、手放すべきだった)
- 弁護士などの資格が必要な仕事は、そもそもしていない
- ヤミ金融からのDMは、とりあえず無視すればいい
- クレジットカードなどは、当分作らない方がいい
…ということです。ということで、フリーター・アルバイトの人が多額の借金を抱えた時点で、「自己破産には、何のデメリットもない」のです。自己破産のデメリットというのは「失うものがある人」限定なんですね。
ということで、最悪の場合、自己破産してしまえばいいのです。「借りたものは返す」ことは確かに正しいのですが、それでも「体を壊して働けなくなる」より、遥かにマシです。
3-3.体を壊すと、その後の人生がずっと限定される
一度体を壊すと、その後ずっと、肉体労働はおろか、一般的な運動ができなくなってしまいます(しまうことが多いです)。つまりその後の人生を、ずっと左右されるわけです。
これは本人にとっても不幸なことですが、社会にとっても損失です。
- 長く健康で働いてくれた方が、社会にとってはいい
- 返済が遅くなると利息は増えるが、これは消費者金融にとって良い
- 利息を多く払うことは、日本経済にとってもプラスになる
…ということです。確かに、自分にとっては「利息が増えるのは嫌」でしょうが、これはキャッシング業者や日本経済全体にとっては「プラス」なんですね。そして、自分にとっても「体を壊すより、多少利子総額が増えても、長く健康でいられる方がいい」わけです。
だから、多少利息総額が増えることくらいは目をつぶって「まず、健康第一」で行くべきなのです。それが全ての人にとってのプラスなんですね。
なので、くれぐれも「借金完済のために働いて、体を壊す」ことはないようにしてください。早期返済も大事ですが、一番大事なのは「健康」です。
4.参考文献・サイト一覧
- 小林幹男(2009)『「貸せない」金融』角川SSコミュニケーションズ
- 「沖縄のヤミ金融事情」などについて、参考
- 藤沢久美・片野佐保・真水美佳・川島直子(2008)『理解されないビジネスモデル 消費者金融』時事通信出版局
- 「ユニワード」代表のインタビューから、初期の消費者金融の融資について、参考
- 青木雄二(1999)『ナニワ金融道・文庫版 第7巻』講談社
- 「トイチ」のヤミ金融、銭田掏二朗が登場する回
- ブラックバイトユニオン
- http://blackarbeit-union.com/aboutUs/aboutBlackarbeit/
- ブラックバイトの実態について、参考