ソニー銀行カードローンの金利は、主要な銀行カードローンの中で一番安くなっています。実質年率にすると「2.5~13.8%」。これは―。
- 上限金利…イオン銀行と並んで一番安い
- 下限金利…横浜銀行に次いで、ほぼ2番目に安い
…という風になります。
目次
上限金利が、イオン銀行と並んで一番安い
主だった銀行カードローンの中で、上限金利が低い(安い)ものを一覧にすると、下のようになります。
ソニー銀行カードローン | 13.8%(実質年率) |
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イオン銀行カードローンBIG | 13.8%(実質年率) |
みずほ銀行カードローン | 14.0%(実質年率) |
楽天銀行スーパーローン(カードローン) | 14.5%(実質年率) |
三井住友銀行カードローン | 14.5%(実質年率) |
例外として、りそな銀行の「12.475%」などもありますが、りそな銀行は少々審査が厳しいので、実際に申し込みやすい銀行カードローンとしては、これらが特に低金利といえます。
…というように、ソニー銀行はイオン銀行と並んで上限金利が一番安いわけですが、これはどのような意味があるのか。
上限金利が安いのは、普通のキャッシングにおいて一番重要
上限金利というのは、キャッシング総額が「100万円以下」の時に適用される金利です。つまり、多くの人のキャッシングで一番重要な金利…ということですね。
ほとんどの人にとって下限金利は逆にあまり関係ないのです。下限金利は最高融資枠近くまで借りた時の適用金利ということで、たとえばソニー銀行だったら800万円近くを借りて、初めて適用されるわけですね。
だから、銀行カードローンでも消費者金融でも金利を比較する時は、ひたすら上限金利で比較するべきなのです。その点で上限金利が銀行カードローンの中で一番安いソニー銀行は、多くの人のキャッシングにおいて一番おすすめということができます。
ソニー銀行カードローンは無利息期間はない
もう1つ、普通の人のキャッシングの金利・利息に関して重要なのは「無利息期間」です。「初回30日間無利息」など、一定期間という条件で無利子になるものですね。
実は、金利よりもこちらの方が遥かに重要だったりします。たとえば「消費者金融は銀行カードローンよりも金利が高い」ということは誰もが知っていますが、「30日間無利息の消費者金融だったら、最初の5ヶ月は銀行カードローンより低金利」という現実もあるんですね。「低金利」というより、正確に言うと「低利息」ですが、利子総額が最初の5ヶ月は、「30日間無利息」の消費者金融の方が安くなるのです。
というように「無利子期間」はキャッシングの利子を比較する時非常に重要なのですが、これについては残念ながらソニー銀行は持っていません。
銀行カードローンで無利息期間があるのは?
無利息期間の話ついでに、ソニー銀行以外の銀行カードローンで、無利子期間を持っているところを一覧にしましょう。これは下のようになります。
- 新生銀行(レイク)…初回30日間無利息、5万円まで180日間無利息
- しずぎんカードローン「セレカ」…最大45日間利息キャッシュバック
…という風です。他にも地方銀行まで含めたら、たとえばトマト銀行が期間限定で30日間無利息をやっていたりと、いろんな無利子期間があります。
(書き忘れましたが、ジャパンネット銀行も通常設定で初回30日間無利息をやっています)
特に地方銀行で多いのは、しずぎんカードローンのように「最大○○日間利息キャッシュバック」というもの。「完全に無利息になる」のではなく―。
- 一度利息は払う
- しかし、それが後日キャッシュバックで戻って来る
…という仕組みです。ということで「実質無利息」ということですね。少々複雑ですが、実質利息ゼロになるのであれば、利子総額を安くしてキャッシングしたいという人にとってもメリットがあるでしょう。
ソニー銀行の下限金利を、他の銀行カードローンと比較すると?
次に下限金利について、ソニー銀行と他の銀行のカードローンを比べてみましょう。下限金利が安い銀行カードローンを、主だったもので一覧にすると―。
横浜銀行カードローン | 1.9%(実質年率) |
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ソニー銀行カードローン | 2.5%(実質年率) |
ジャパンネット銀行「ネットキャッシング」 | 2.5%(実質年率) |
オリックス銀行カードローン | 1.7%(実質年率) |
…という風になります。これを見ると、「横浜銀行の1.9%が一番安い」と思う人も多いでしょう。しかし、これは「最高限度額が1000万円で、ソニー銀行の800万円より大きい」というのが理由です。
キャッシングの常識として「借入限度額が大きくなるほど低金利になる」というものがあります。そのため、800万円が限度額のソニー銀行より、1000万円が限度額の横浜銀行の方が、下限金利が安くなるのは当然なんですね。
もし横浜銀行カードローンの最高借入可能金額が800万円だったら、おそらくソニー銀行と同程度の下限金利になったでしょう。ということで、事実上ソニー銀行の下限金利は、主要な銀行カードローンすべての中で、一番安いといってもいいのです。
(ちなみに、ソニー銀行と同じ下限金利のジャパンネット銀行も、最高限度額1000万円なので、これについては完全にソニー銀行の方が上です)
そもそも、下限金利は普通の人には関係ない
ただ、下限金利の比較はあまり意味がありません。これは先にも書いた通りです。「最高極度額近くまで借りた時」の金利なので、普通の人はそこまで借り入れをすることができないのですね。
たとえばソニー銀行の場合は「800万円」ですが「年収の3分の1まで借りられる」という総量規制のルールに照らし合わせると、この金額を借りるには「年収2400万円が必要」ということになります。
銀行カードローンだから総量規制の対象外ではあるが…
もちろん、この年収の3分の1というのは、消費者金融に適用される「貸金業法」の中の「総量規制」というルールです。そして、この貸金業法はソニー銀行などの銀行カードローンには適用されないので、「別に年収2400万円なくても800万円借りられる」…という人もいるでしょう。
しかし、実際には総量規制の対象外であっても年収の3分の1まで借りるのは至難の業です。そもそも、この「年収の3分の1」というラインがどこで出たかを紹介します。
貸金業法改正時に、金融庁の調査によって生まれた
2010年の貸金業法改正では、その5年ほど前から、国会議員による研究が盛んに行われていました。そして、その議論の中で「そもそも、人間は大体どのくらいまで借金して大丈夫なのか」という疑問が湧いたわけですね(借入超過・過剰貸付の定義をしよう、ということです)。
で、委員会は金融庁に依頼し「年収に対して、いくらくらいまでの割合であれば、問題なく返済できるのか」という統計を取ったのです。あらゆる状況・条件でシミュレーションした結果、「年収の3分の1」という結果が出たんですね。
ということで、総量規制の「年収の3分の1」という基準が決まったのです。ということは―。
- たとえば銀行カードローンが総量規制の対象外でも
- 融資する側としては、これ以上融資するのは危険だし
- 借りる側もそれだけ借りるのは危険
…ということです。そのため、ソニー銀行で800万円借りるには「年収2400万円は必須」ということなんですね。
当然、日本人でキャッシングを利用する人で、年収2400万円の人などゼロに近いです。というわけで、事実上「ソニー銀行で800万円借りるのは無理」ということになるんですね。
なので、ソニー銀行カードローンの借り入れで下限金利が適されることはないのです。これはソニー銀行に限らずどの銀行カードローンでも消費者金融でも同じことなので、知っておいてください。
(こういう理由で、「下限金利は意味がない」ということです)
以上、ソニー銀行カードローンの金利・利息についてまとめました。ここから先は、日本のキャッシングの金利全般に関する話をしていきます。金融に関するコラムとして、興味がある人は読んでみてください。
日本のキャッシングの上限金利について
金利の話ついでに、日本のキャッシングの上限金利について書きましょう。よく「消費者金融・サラ金の金利は高い」と言われますが、実は日本の消費者金融の上限金利は世界的に見てかなり低い方です。
まず、日本の消費者金融の上限金利(最高金利)は、実質年率18%です(10万円未満の場合は20%ですが)。で、これが世界に出るとどうなるかというと、たとえば韓国の場合は40%程度なんですね。
そのため貸金業法改正によって、消費者金融の上限金利が18%になった時、日本のキャッシング業者の多くが韓国に進出したくらいです。また、韓国以外の欧米やアジアの諸国でも、軒並み30%~40%程度の金利がOKとされています。
遠山の金さんが「金利をコントロールしてはいけない」と語った
こうした「政府による金利の操作」については、実は江戸時代から問題になっていました。すなわち、政府(幕府)が介入して、金利の上限を制定することは、是か非か…ということですね。江戸時代の議論についてまとめると―。
- 寛政の改革・天保の改革で、上限金利の設定がされた
- それに対し、金さん(遠山左衛門尉景元)が反対した
- 幕府に対して「意見書」を出した
…ということです。で、意見書には何が書かれていたかというと―。
- 上限金利を決めてしまうと、貸してはお金を貸さなくなる
- 融資できるはずのお金が硬直するし、逆に「高金利でも借りたい」という人は、借りられなくなる
- 経済の流れが悪くなる
- だから、幕府が介入して金利を決めるのはよくない
…ということです。このように、政府や幕府などの国家権力が介在して上限金利を決めることについては、実に400年前から議論されていたんですね。
ちなみに、この遠山の金さんの幕府に対する意見書の話は、『「弱者はなぜ救われないのか ~貸金業法改正に見る政治の失敗~』(2012年/増原義剛/きんざい)に書かれています。
この本は「貸金業法改正は、かえって弱者を苦しめることになった」というスタンスで、私もその通りだと思っています。そして、上限金利を下げたことが本当に正しかったのかどうかも、これを読むと疑問に感じるようになるでしょう。
もちろん、貸金業法の改正に関わった人々が、別に特定の銀行などの利権を守るためにやった…とはいえないでしょう。一般の感覚からすると、確かに上限金利をしっかり法律で決めた方が、ヤミ金の暗躍は防げる…と考えるはずです。
ただ、「その読みが甘かった」「事前のリサーチがしっかりしていなかった」という問題であり、狙っていたこと自体は、理念自体は間違っていなかったと思います。