学生のキャッシング

奨学金の返済を3ヶ月以上延滞すると、ブラックリストに記録される

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奨学金の返済を延滞した場合、ブラックリストに入ります。つまり、個人信用情報機関に「異動情報・事故情報」が記録されます。ポイントをまとめると―。

  • 2008年から、登録が始まった
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC)に加盟している
  • 3ヶ月以上の延滞で、登録される
  • 一度ブラックになると、返還完了の5年後まで消えない

ということ。このうち、一番影響が大きいのは「返還完了」から5年後まで、記録が残り続けるということでしょう。

「遅延を解消してから5年」ではない

普通の人の感覚だと「遅れている分を払ってから、5年で履歴が消える」となるでしょう。しかし、奨学金の遅延・延滞の場合は「全ての返還が完了してから、5年」というルールです。

つまり、たとえば400万円を借りたとしましょう。そして、返済が始まってから最初の頃に「3ヶ月以上の遅延・延滞」をしたとします。

そうすると、返還が完了する15年後くらいまで、ずっとその記録が残り続けるわけです。そして、15年で返還完了したら「さらにそこから5年後」ということで、「遅延してから20年後に、ようやく履歴が消える」ということです。

気が遠くなるほど長い年月…というのがわかるでしょう。もちろん、返還完了がもっと早ければいいのですが、実際には、奨学金の返済は「平均で16年」かかります。

そのため、最初の5年くらいの間で延滞・滞納してしまった人は、「そこから約15年間、ブラックリスト入りしたまま」という、かなり不利な状況に置かれます。

なぜここまで期間が長いのか?

これは、個人信用情報機関の中でも「全国銀行個人信用情報センター」に登録しているため。

  • JICC(日本信用情報機構)
  • CIC(シーアイシー)

だったらもっと短いのですが、全国銀行個人信用情報センターはこれらの2つの個人信用情報機関よりも、記録の保管が厳しいんですね。ということで、このように長い期間の保管となるのです。

少なくとも「3ヶ月以上」の延滞は、絶対にしない

ここから言えることは、少なくとも「3ヶ月以上」という長期延滞は、絶対にしてはいけないということ。ブラックリスト入りするとクレジットカードも発行できませんし、新しい分割払い・カードローンの審査など、ありとあらゆる借り入れの審査で不利になります。

そのため「日本学生支援機構に迷惑をかけて終わり」ではないんですね。そこから10年~15年という長い年月、自分のお金に関する生活が全て不利になるということです。

要は3ヶ月以上という長期の滞納・延滞をしなければいいわけですから、普通にそういう長期延滞をしないことを、まず意識しましょう。

(普通に返済していれば、3ヶ月以上遅れるということはまずないはずです)

どうしても返済できない時は、猶予・減額制度を使う

特にお給料が安い場合など、「どうしても返済できない」という時は確かにあるでしょう。その場合、奨学金には―。

  • 返還期限猶予
  • 減額返還制度

というものもあります。これらの制度を適用して、一時的なピンチを凌ぐのがいいでしょう。

「返還期限猶予」では、期限を延長してもらうことができますし、「減額返還制度」では、月々の支払いを半分にすることもできます。

もちろん最終的に支払う奨学金の総額は変わらないのですがとりあえず一時的にお金がない時のピンチを凌ぐにはいいでしょう。

ここまで書いた通り、3ヶ月滞納してしまったら、その後10年ほど、何の借入審査にも通らないという、かなり経済的に厳しい状況になります。ということで、もし3ヶ月遅延するかも知れないような危険な状態になったら、必ずこれらの猶予制度を申請するようにしましょう。

奨学金を借りる時に、個人信用情報の登録に同意している

このようなブラックリスト入りについて「何でそんなのに登録されるんだ」と怒る方もいるかも知れませんが、少なくとも2008年以降に借りた人の場合、最初に同意書を書いているはずです。

「個人信用情報の取扱いに関する同意書」という書類ですが、これに記入して、捺印などもしているはずなんですね。ということで、日本学生支援機構が「勝手にやっている」わけではないのです。

もちろん、奨学金を借りる時点では、その個人信用情報というのが何のことかはよくわかっていなかったでしょう。ただ、別にわかっていなくても「遅れずに返済しなければいけない」ということはわかっていたはずなので、日本学生支援機構が非情な取り立てをしている…という考え方は間違いです。

奨学金の問題の根本は、どこにあるのか

結論をいうと「お金にならない学問や学歴を、日本人が過剰にありがたがっている」ということにあります。箇条書きすると―。

  • もう、大学を出ることは実生活の役には立たない
  • しかし、奨学金で数百万円も借りてしまった
  • 返済しなければいけないけど、仕事の給料は安い
  • というより、仕事自体ない
  • 返済だけは、毎月要求される
  • 「こんなはずではなかった」という不満が募る
  • その矛先が、奨学金に向かっている

ということでしょう。こういうことを書くと、奨学金の返済で苦労している方からブーイングを受けそうですが、個人的にはこう思います。

福沢諭吉も「実学以外するな」と説いている

実はこの問題は明治のはじめからあって、福沢諭吉も『学問のすすめ』の中で、下のように説いています。

  • 人間の富貴貴賎を分けるのは、学問である
  • ただし「漢詩を読める」とか、そういう学問ではない
  • 実際に金銭を得ることにつながる「実学」である
  • 人々は、金銭につながらない学問をありがたがる
  • しかし、明治の今の世で必要なのは、そうした学問ではない

という内容です。これは意訳ではなく、はっきりそう書いてあります。『学問のすすめ』を読めと言っている学校の先生たちはどこを読んでいるのだろう、というくらい、全力で「学問のための学問」を否定しています。

奨学金の問題の根っこにある「お金に対する考え方」は、実は明治のはじめから既に問題になっていたのです。そして、福沢諭吉がそれを批判していたのです。

彼は明治26年の慶應義塾での講演でも、「金銭は独立の基本である。これを卑しんではならない」と語っています。まるで現代の大学生に向かって言っているかのような言葉ですが、「お金を稼ぐ」というのは、それだけ大事なことなのです。

「日本学生支援機構叩き」は、メディアのアクセス集めである

最近「奨学金はサラ金並に悪質」という論調が強まっています。理由はカンタンで、「そう主張しておけば、アクセスが集まる」からです。SNSでも多くシェアしてもらえます。

奨学金の金利は、最高でも3.0%。実際には、2013年時点で0.3%など、銀行の教育ローンの10分の1程度の金利でしかありません。

サラ金=消費者金融の金利の「15%(100万円以上の場合)」と比較すると、「50分の1」ということです。こうして数値で比較しても、「奨学金がサラ金並みに悪質」ということは、言えないでしょう。

人間は「正しい情報」ではなく「自分が見たい情報」だけ、見ようとするものです。しかし、それではいつまでも経っても「問題を人のせいにする弱者」を卒業できません。

「オマハの賢人」と呼ばれ、お金のこと以外も知り尽くしているウォーレン・バフェットは、6才の頃から自分で物売りをしてお金を稼いでいました。長いこと「仕事」から離れて大人になってしまった日本人は、「自分の生命力が、大学卒業時点でかなり低い」ことを自覚した方がいいでしょう。

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