多重債務防止

借金の返済のためにキャッシングをしてはいけない ~おまとめローンや債務整理を考える~

「借金の返済のために借金をする」―。これは多くの人がついやってしまうことですが、絶対にNGです。

  • 住宅ローン
  • クレジットカード
  • 自動車ローン

などの支払いに負われて、ついつい消費者金融からキャッシングする人は多いのですが、これは多重債務・借入超過に陥る典型的なパターンです。

こういう状態になったら―。

  1. まず「返済計画再編を支援する融資」を考える
  2. 返済計画再編を支援する融資で追いつかないレベルの場合「債務整理」を考える
  3. 親などに頭を下げて、とりあえず肩代わりしてもらう(利息がないだけでも楽になる)

…という対策を練る必要があります。これらはいずれも「根本的」な対策です。これに対して返済のためにお金を借りるのは、「枝葉の対策」です。

どんなことでも、根本から手をつける方が大変であり、精神的にも苦痛を伴うものです。しかし、それを一度あると後が断然楽になります。

多重債務に陥った人たちも―。

  1. 最初は普通の人だった
  2. 住宅ローンの返済などに行き詰まって、借りたのがきっかけだった

ということを、よく意識してください(住宅ローンを組んだ人が全員そうなるというわけではなく、こういう「返済のための借金」から、どんどん転落していくことは、思いの外多い…ということです。

目次

1.返済で行き詰まったら、やるべきこと

1-1.生活を見直す(支出を減らす)

これは当たり前のことですが、意外と多くの人がこれをやりません。支出を削れない理由は―。

  • 単純にストレス耐性が弱い
  • 見栄を張ってしまう
  • 見栄ではないが、気が弱いため誘いを断れない
  • ストレスもないし、人間関係の問題もないが、単純に何も考えていない

…というものです。いずれにしても―。

  • 「無理のある生活」をしているか
  • 「心が弱い」

…という欠点を抱えているといえます。これは借金の問題だけでなく、人生全般の改善のためにも、直した方がいい部分だと考えてください。

1-2.副業を始める(収入を増やす)

別に副業でなくてもいいのですが、要は何かしらの方法で収入を増やす…ということです。支出を減らすのも大事ですが、収入が大幅に増えるのであれば、多少支出が増えてしまってもかまいません。

(実際、買い物をしてお金を回すというのは、経済的には非常にいいことなのです)

で、どんな副業をするか、あるいはどんな方法で収入を増やすか…、というのは、当然人によって選択肢が異なります。最近だと個人で始めやすいのは「ネット系のビジネス」ですが、これだと月収50万円や100万円は、休日なしで働けば割と簡単に稼げます。

いわゆる「与沢翼系」の「誰でも楽して稼げる」的なものは、ただのマルチビジネスなので、手を出さないようにしてください。

1-3.複数の借り入れの場合「大口利用」する

借り入れが複数にわたっている場合、いわゆる「返済計画再編を支援する融資」を利用して、借金を返済計画を再編するようにしましょう。一本化をすることによって―。

  • 「借入総額が100万円を超える場合は、低金利(15%以下)になる
  • 「正確な借入残高」がわかって、返済計画が立てやすくなる
  • 返済の手間が減り、その分多く働いて稼ぐことができる
  • 多数の業者に返済する手数料がなくなる

…などのメリットがあります。もっと簡単に書くと―。

  1. 金利が下がる
  2. 返済しやすくなる
  3. 返済にかかる自分の時給が浮く
  4. 手数料もなくなる

…ということです。何にしても、多重債務の場合はほぼ確実に、返済計画再編を支援する融資を利用した方がメリットが大きいので、まず最初にこれを検討してください。

(返済計画再編を支援する融資という名前でなくても、銀行カードローンだったら普通に返済計画を再編できるので、消費者金融の借り入れを銀行でまとめる…というのでもかまいません)

1-4.大口利用で間に合わない場合「債務整理」する

かなり深刻な多重債務の場合、 返済計画再編を支援する融資では「焼け石に水」ということも多いです。また、そこまでひどくなくても軽度な債務整理をすることで、負担を少し減らすという選択肢もあります。

債務整理というと、自己破産など「ゼロか100か」のような選択肢のように感じてしまいますが、実際には「ちょっと返済を楽にする」というような債務整理もあるんですね。

1-5.「任意整理」なら、内容は何でもあり

  • 自己破産するほどではない
  • 何とかギリギリで自力返済できそう
  • でも、できれば負担を軽減したい

…という場合、「任意整理」という債務整理がおすすめです。任意整理は、「任意=自由」な債務整理ということで、「内容は、業者との話し合い次第で、何でもいい」のですね。

なので、たとえば下のような内容があります。

  • 過払い金の返還(これが一番多い)
  • 将来利息(これから払う利息)の軽減 or 帳消し
  • 元本・利息の一部軽減
  • 月々の返済額の変更

…という風です。「元本や利息を、一部カットしてもらう」というのは、少々難しいです。よほど返済不能になる可能性が高い、という人であれば可能性はありますが、返済できそうな人の場合、これは許可されないと考えてください。

「過払い金の返還」は、法的に「正当な権利」なので、これはほぼ100%成功します。司法書士や弁護士に依頼した場合に限りますが、これは「確実に成功する任意整理」の一つです。

(だから、「任意整理=過払い金の返還」と思っている人も多いです)

…というように、任意整理にはいろいろありますが、軽度な内容だったら、自己破産などのように深刻な手続きをする必要はなく、負担を軽減できます。もちろん「業者にとって、任意整理した方がマシ」という状況である必要がありますが、そういう条件を満たせれば、任意整理を検討するのもいいでしょう。

2.「返済のための借り入れ」でよくあるパターン

2-1.「クレジットカード」の返済

これはダントツで多いパターンです。クレジットカードで買い物している人なら、一度はやったことがあるのではないでしょうか。

消費者金融で借りる、という方法でなくても「同じクレジットカードのキャッシング枠を使う」などの方法は、やったことがある人が、多いかと思います。これはつまり―。

  • 「カード会社○○」に返済するお金を
  • 同じ「カード会社○○」から借りている

という、何とも矛盾した構図なのですが、実際には多くの人がこれをやっています。

とりあえず、こうして返済しておけば、督促も来ないし、ブラックリストにも入らないし、返済した分ショッピング枠の余裕も復活する…ということで、「危機感が薄れる」という特徴があります。

このパターンになると―。

  1. キャッシング枠も使い果たす
  2. 「借りて返済する」ことができなくなる

という状態になって初めて「やばい」ということに気づきます。そして、それから消費者金融などの「キャッシング専門の業者」に金策に走る…というのが、典型的なパターンです。

これが典型的なパターンと知っていれば、「自分がそれになりかけた時、ブレーキをかけられる」のですが、知らないと「私は普通だ」「私はまともだ」と思い込んだまま、こういう「やばい状態」になってしまいます。

そうならないためにもたとえクレジットカードの返済であれ「返済のために借金をする」というのは、かなりの危険信号ということを知っておいて下さい。

2-2.「住宅ローン」の返済

「住宅ローンの返済に行き詰まって、キャッシングする」というのも、クレジットカードについで多いパターン。特にまともな生活をしていた人が、突然借金地獄に転落するというのは、このパターンが多いです。

なぜ、そんなに突然運命が変わってしまうのか。これは―。

  1. 住宅ローンの返済で「ボーナス払い」を設定している
  2. これ自体はいいが「その金額」が大きい
  3. 会社が不調で、ボーナスが出なかった時「急激にやばく」なる

…ということです。最近の日本では「いきなりボーナス全額カット」というのは普通なので、驚くようなことではありません。住宅ローンのボーナス払いの比率を高める、というのは非常に危険なことなんですね。

これは、金融ライターの笠虎崇氏も、『サラ金全滅』などの著書で指摘されています。笠虎氏はアイフルで入社1年目からトップセールスマンになった凄腕の方ですが、担当していたのは「不動産担保ローン」でした。

つまり「住宅ローンの返済ができなくて、消費者金融に手を出す人」を大量に見てきたわけですが、その彼がいうので「住宅ローンはかなりハイリスクな借り入れ」というのは、間違いないでしょう。

(笠虎氏だけでなく、経済的に成功している多くの人が「住宅ローンは極めてハイリスク」という主張を、揃ってしています)

2-3.「自動車ローン」の返済

クレジットカード・住宅ローンの次に多いのは「自動車ローン」です。基本的に人間がする大きな買い物は―。

  1. 住宅
  2. 自動車

というのが大体の順番ですからね。

自動車ローンの返済で行き詰まる人というのは、当然「安い国産車に乗る人」ではありません。「見栄を張って、外国車や高級車に乗る」人です。

もちろん、そういう車に乗ることが悪い…というわけではありません。私もBMWやベンツにはかなり興味がありますし、できれば乗ってみたいです。

しかし「無理して買う」ほどのものではないでしょう。そうして無理して高級車を買うと―。

  • 地味な服で乗るのは恥ずかしいので、服も派手になる
  • 交友関係も派手になり、派手な店によく行くようになる

…という風に、「支出が支出を呼ぶ」という典型的なパターンになってしまいます。

格好いい車に乗ること自体は悪くありませんが、あくまで「実際にそれにふさわしい金額を稼いでから」にしましょう。

(…というと、車が売れなくなって日本経済が停滞してしまうので、これはまた難しいところなのですが…)

3.業者から「よそで借りて返せ」と言われた場合

3-1.「違法な督促」なので従う必要はない

金貸しを扱った漫画でよく見られるセリフですが「親や兄弟から借りてきて返さんかい!」というものがあります。「返済のための借り入れ」では、自主的にする場合だけでなく、このように「業者から、無理やりやらされる」ということもあるでしょう。

しかし、これは「完全に違法な督促」なので、従う必要ははありません。

3-2.貸金業法21条6「取り立て行為の規制」

貸金業法の21条は「取立行為の規制」という内容で、その6項で「他から借金して返済させる」ことが禁止されています。(引用)

債務者等に対し、債務者等以外の者からの金銭の借入れその他これに類する方法により貸付けの契約に基づく債務の弁済資金を調達することを要求すること。

わかりやすく分解して書くと―。

  • 借り手に対して
  • 他の人から借金したり
  • それに似た方法で、
  • 「金を返せ」と要求してはいけない

…となります。このように明確に「他から借りて返せ」と要求するのは、禁止されているんですね。

3-3.昔の業者は「支払能力」ではなく「借金能力」に融資していた

今はほとんどなくなりましたが、この「よそで借りてきて、返さんかい!」というのは、昔はよくありました。特に「サラ金」による多重債務者が大量に出ていた頃ですが、当時を振り返って、ある中小の貸金業者は「その人の『支払能力』ではなく『借金能力』を見込んで融資していた」と語ります。

つまり、最初から「自力で返済できない」ということはわかっていたのです。でも「この人、まだ他から借りられるから、借り入れさせて、返済させればいいや」と思っていたんですね。これが「借金能力に対して融資する」ということです。

実際、その頃の中小業者では、新規の客が申し込みに来た時、窓の外を見ると大体「金貸し」と思われる人が立っていたそうです。で、借り入れに成功したら、お客さんはすぐにその金貸しにお金を渡す…ということですね。

…という時代もあったので、特に年配の方の場合「よそから借りてでも返す」というのが、普通に感じられるかも知れません。しかし、これは上にも書いた通り「完全な違法行為」なので、従う必要はないのです。

4.まとめ&参考資料一覧

4-1.まとめ「返済を気楽&柔軟に」考える

吉田猫次郎氏は、著書『借金力』の中で、下のように書いています。

  • 借金に追われていた頃の自分は「返済に遅れたらアウト」と思っていた
  • しかし、よく考えたら「遅れたからといって、殺される」わけではない
  • 「返済を待ってもらう」「期間を伸ばしてもらう」など、選択肢はいろいろある
  • 債務整理だってあるし、自己破産だってある
  • 借金の返済は、あまり深刻に考えない方がいい

…という内容です(筆者要約)。猫次郎氏は、自らも多重債務から復活された方で、これまでも多くの多重債務者の方の人生を改善に導いています。

猫次郎氏のサイトに寄せられた多重債務者の方の体験談を見ても、やはり「気楽に考えた方がうまく行く」というのは実感します。もちろん返済できないのに開き直る、ということではなく「自分を過剰に責めない」ということです。

どの辺から過剰で、どの辺までは適度なのか…という線引きは確かに難しいところです。ただ「数百万円の借金をしていても、楽しく生きている人はいる」「借金は、自殺するようなことではない」というのは間違いないでしょう。

ケンタッキー・フライドチキン創業者のカーネル・サンダースも、無担保の高利貸から資金を借りるなど、資金繰りで苦しんでいた時代が長くありました。その頃を自伝で振り返って、下のように語っています。(引用)

その頃、私は不遇の時を送っていました。破産していましたからね。

ある夜、ベッドに横たわり、明日の資金繰りを考えているうちにまったく眠れずに朝を迎えたことがありました。そこで私はハッとしたのです。

「会いたい人がいても会えない」「借金取りだって眠っている」。そんな時間に、一体何を一人で悩んでいるんだ?実際に今攻撃されているわけじゃないじゃないか―。ということですね。

それ以来、カーネル・サンダースは「ベッドに入ったら、心をまっさらにして、赤ん坊のように眠る」ようにしたそうです。彼が65才から無一文でケンタッキーを創業して成功したのは、こういう「気持ちの切り替え」ができたからというのもあるでしょう。

…というように「借金について、必要以上に悩まない」ということは、とても大切です。真面目に返済するのも大事ですが、「柔軟さ」「生きる楽しさ」だけはなくさないようにしましょう。

4-2.参考書籍・サイト一覧

  • 笠虎崇(2010)『サラ金全滅―過払い金バブル狂乱』共栄書房
  • 吉田猫次郎(2006)『借りた金で死なないための129ヶ条 借金力』文芸社
  • カーネル・サンダース(2013)『カーネル・サンダース自伝』(P.198~199)
  • 総務省行政管理局「貸金業法」http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S58/S58HO032.html

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