悪徳業者に注意!

カードローン・キャッシングは、マルチ商法の借金のために使ってはいけない

「マルチ商法のために、キャッシングでお金を借りる」という人は多いです。『ナニワ金融道』にも「マルチと街金は相性がいいんやで」というセリフが登場しますが、実際、マルチ商法のためにお金を借りる人は、多重債務者になりやすいのです。

以下、マルチ商法(ネズミ講・ネットワークビジネス)でお金を借りる人に多重債務者が多い理由、そうした方の精神構造などについてまとめます。

目次

1.マルチ商法で借金する人に、多重債務者が多い理由

1-1.マルチ商法に騙される時点で、能力的に残念な人である

まず、多重債務者になりやすい人というのは、当然「能力が劣る」人です。つまり「冷静な判断ができない人」ということですね。

私も過去にマルチ商法(的なもの)に少しハマっていましたが、こういう商法にハマる人は、能力が低いか、世間知らずです。そして、こういう条件の人は、当然「能力がある人・世間を知っている人」よりも、多重債務者になりやすいわけですね。

つまり、別にマルチ商法でなくてもいいのですが、こういう「愚かな人しか手を出さないようなもの」に手を出す時点で、その人が多重債務者になる可能性は、かなり高い…ということなのです。

(ちなみに「ブランド品」も似たようなものです)

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1-2.マルチの正体は知っているが、他に逆転の方法がない

今度はベクトルが逆で―。

  • 「マルチにハマるような人」だから「多重債務になる」ではなく
  • 「多重債務者」だから「マルチに手を出す」

…という理由です。この場合「マルチビジネスの正体」を知っている人でも、手を出してしまいます。見出しの通りもう、他に人生を逆転する方法がないからです。

これは何となく想像がつくでしょう。たとえばあなたが「年収1億円になりたい」として、まともな方法でそれを実現するのは、なかなか想像できないと思います。多重債務者の人の場合、ますます難しいわけです。

「じゃあ、金持ちになろうなんて思うなよ」というのは、まったくその通りです。ただ、「お金で虐げられた人ほど、金持ちになる夢を見る」という現象があるんですね。なので、経済的に成功した人の中には「過去にお金で苦しんだ人」が多いのです。

(これはいわゆる善玉。「いい方に出た」例です)

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1-3.マルチの仕組みは、最初から「会員の搾取」が目的

そもそも、マルチ商法の仕組みは最初から「会員から搾取する」ことです。彼らは、自分が売っている商品に何の価値もないことは、よくわかっているんですね。

また、勧誘した会員たちが「稼げない」というのも百も承知なのです。マルチの上層部にとって、新規の会員は「ただの養分」であり、まれに実力のある人がいたら、その人に集中的に稼がせて、他の会員のモチベーションにする…という風に持っていくんですね。

要は「会員が稼げようが、稼げまいが、どちらでもいい」のです。短期的に焼畑農業のように稼いで、あとはトンズラする…というのが彼らの「出口戦略」です。

というように「最初から搾取されることが決まっている仕事」に、自ら大枚をはたいて飛び込んでいくわけですから、彼らが多重債務者になるのは当たり前なのです。

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2.そもそも、マルチ商法とは何か

2-1.マルチ商法・ネットワークビジネスの仕組み

マルチ商法・ネットワークビジネスの仕組みは、簡単に書くと下の通りです。

  1. Aさんが「月収100万円稼ぐ方法を教えます」と、宣伝する
  2. その「教材」を「1万円」で、「100人」に売る
  3. これで、Aさんは「月収100万円」を稼いだことになる
  4. Aさんの教材には「これと同じことをやって下さい」と書かれている
  5. 以下、BさんもCさんも、みんな同じことをやる

…というものです。つまり「実態のない、ドミノ倒し」のような仕組みで、ひたすらこれが続くわけですね。このAさんも「さらに前の人」から、やはり同じように「このやり方で稼いでください」と言われたわけです。

このように「ひたすら幻想が連鎖する」のがマルチ商法ですが、このため正式名称で「連鎖販売取引」といいます。

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2-2.「稼ぎ方を教える」だけでなく、商品も売る

昔のマルチ商法は、上のように「稼ぎ方」だけを教えていました。この頃は「ネズミ講」と呼ばれていたものです。(ネットワークビジネスなどの別名もあります)

しかし、これが「特定商取引法」によって規制され、対策として「商品の売買を伴う」ようになりました。つまり―。

  • 確かに「稼ぎ方」を教える
  • しかし、その方法は「鍋の販売」である(アイテムは何でもOKですが)
  • つまり「いい鍋を売って、お金持ちになる方法」を教えるに過ぎない
  • その「伝授の場」では、実際に会員たちに鍋を売っている
  • だから、これは「鍋の売買」に過ぎない
  • よって、違法ではない

…ということです。現代のマルチ商法は、こういう「実際の商品」がセットの形になっています。(しかし、根っこの仕組みは上に書いたような「稼ぎ方教えます」の連鎖…ということですね)

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3.『ナニワ金融道』に登場するマルチ商法

3-1.「英国製の高級タイヤ」を売るビジネス

『ナニワ金融道』にも「マルチ商法にハマって、街金から借金する人物」が登場します。しかもこれが「警察官」なのですが…。

このマルチ商法の仕組みは―。

  • 「高級タイヤ」を、今だけ激安で販売できる
  • 「良いものが格安」なので、確実に売れる
  • しかし、販売するには「代理店」の資格が必要
  • その資格を得るのに、400万円必要

…というものです。(金額は、勧誘する「親」によっても多少違ったようですが、1つの目安です)

で、気づくと思いますが、400万円払って代理店の資格を得たものの、タイヤが全然売れずに終わるというパターンがほとんどなわけですね。

3-2.タイヤを売らなくても「会員を勧誘する」方法でもOK

このマルチ商法は「もう一つの稼ぎ方」もあります。それが「タイヤを売るのではなく、会員を勧誘する」ということ。

  • 「勧誘したら紹介料が入る」
  • 「その後の子分会員の売上も、一部が自分のものになる」

というシステムなんですね。

つまり、タイヤという商品を介した、完全なねずみ講なのですが、一応「タイヤの販売」という実際の売買が絡んでいる以上、違法ではなかったのです(当時は)。

結局のところ、多くの人にとって「タイヤを売る」よりも「会員を勧誘する」方が圧倒的に楽だったので、みんなそれで、どんどん会員を増やしていったということですね。で、増えれば増えるほど「これだけたくさんの人がやっているのだから」と、騙される人も増えていく…ということですね。

3-3.「借金しても、後で稼げるから大丈夫」と考える

『ナニワ金融道』の時もそうだったのですが、「マルチ商法で借金する人」はみんな「借金しても、後で稼げるから大丈夫」と考え、かなり多めに借りてしまう傾向があります。

つまり、本人の中では「消費の借り入れ」ではなく「事業の借り入れ」なのです。実は、これは私もまったく同じ経験があります。

私の場合、いわゆる「ネットビジネス」にハマっていたのですが―。

  1. 長く運営されていて、たくさん被リンクをもらっているドメインを買う
  2. そのドメインで新しいサイトを作る
  3. そうすれば、すぐに上位表示できて、簡単に稼げる

…という話を聞きました。そして、50万円ほど出して、10万円以上するオールドドメインを5個ほど買ったのですが、見事に全部失敗しました(笑)。

この時もやはり借金だったのですが、私も「稼いですぐに返済できるから大丈夫。ビジネスをするには、先行投資が必要だ」などと思っていたものです。

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3-4.思考は、ギャンブルとまったく同じ

こうしたマルチ商法・ネットワークビジネスなどで借金する人は―。

  • 自分はまじめにビジネスをしている
  • ギャンブルなどで浪費する人間の借金とは違う

と思っています。しかし、根本のところはまったく同じなんですね。どちらも「楽して稼ぎたい」という「射幸心」から来る行動です。

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3-5.射幸心を科学的に説明すると?

射幸心(しゃこうしん)は、本来の意味は「幸せになりたい」と望む心のことです。しかし、世間一般の使い方としては、「楽して幸せになりたい」という気持ちのことを指します。

で、これは科学的にはなぜ生まれるのか。少し長くなりますが、理由を説明すると―。

  1. 人間の体は、生存を脅かす刺激を「苦痛」と感じる
  2. これがあるから、命を守ることができる
  3. ただ、実は「適度に苦痛を乗り越えた」方が、脳も筋肉も発達する
  4. だから、苦痛には「善玉」と「悪玉」がある
  5. しかし、科学的にはどちらも同じ「苦しい刺激」である
  6. 大脳新皮質が発達し、理性のレベルが高い人でなければ、この「刺激の区別」はできない
  7. 発達していない人は、全部「生存を脅かす刺激」として受け取り、拒否する
  8. だから「努力」をしたくない

…となります。まずこれが―。

  • 努力したくない
  • 苦痛を避けたい

…という科学的な理由です。本来「苦痛を避ける」というのは、生きるために必要なことだったのですが、その「回避本能」が強すぎる人は「善玉の苦痛」からも逃げてしまう、ということですね。

で、「楽して」の後の「幸福になりたい」は、言うまでもないでしょう。幸福というのは―。

  • 人から賞賛される
  • 異性にモテる

などがありますが、何にしても人間社会というサバンナで、生存確率が高まるということです。だから、それを本能的に望むわけですね。

これが「楽して稼ぎたい」「楽して幸せになりたい」という射幸心の「科学的なメカニズム」です。そして、マルチ商法やネットワークビジネスも、本質的にはこういう人間心理から来ています。だから「ギャンブルとまったく同じ」なんですね。

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4.まとめ…「正しくお金を稼いだ」人の人生を知る

4-1.松下幸之助の名言「商売は必ず儲かる」

松下幸之助の名言で「商売は必ず儲かる」というものがあります。この意味は―。

  • 人間が集まれば、必ず「誰か、この仕事やってくれ」という仕事が生まれる
  • それを誰よりも「うまく、早く、大量に」こなす
  • そうすれば、仕事は必ず成功する=儲かる

…ということです。「理想論」と言われるかも知れませんが、実際に「長く、安定して稼ぎ続ける人」というのは、こういう風なのです。100%こうでなくても、80%や90%くらいの割合で、こういう「王道」を歩んでいます。

実際、そういう仕事をする方が実は「ノーリスク」なんですね。「労力」は大きいですが、「いつか必要とされなくなる」というリスクがないのです。あるいは「警察や国の規制によって、そのビジネスができなくなる」というリスクもありません。

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4-2.「リスク」と「労力」を混同しない

「楽してお金を稼ごう」とする人は、総じて「リスク」と「労力」を混同しています。仕事のために「労力」を捧げることを「リスク」と考えているわけですね。

もちろん、それも1つの見方でしょう。「労力をつぎ込む」=「時間やエネルギーを失う」わけですから、確かにリスクと言えばリスクです。しかし―。

  • 時間やエネルギーは確かに失う
  • しかし、その分野のスキルなど「得るもの」も必ずある
  • それが「ビジネスの王道」に則った仕事だったら
  • その「得たもの」は、必ずどこかで生きる
  • だから「正しい仕事」をすれば、「無駄になる労力」はない

…ということです。そして―。

  • 「ノーリスク」の仕事は、実際に存在する
  • ただし、そういう仕事は「大きな労力」が要る
  • その労力を「つぎ込む覚悟」さえあれば「ノーリスクで稼ぐ」ことはできる

…ということです。松下幸之助の「商売は必ず儲かる」という名言は、こういう説明の仕方もできます。

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4-3.「地獄への道は、善意で舗装されている」(マルクス・資本論)

マルクスの『資本論』の名言に、「地獄への道は、善意によって舗装されている」というものがあります。これは、下の2通りの解釈ができます。

  • 人間が「善意」によってしたことが、人を破滅させることがある
  • 人間が堕落する道は「優しさ・甘さ・美しさ」によって、飾られている

…ということです。そして、マルチ商法の「楽して儲かる、バラ色の未来」というのは、言うまでもなく後者です。

聖書でも「狭き門より入れ。滅びに至る門は、広く大きい」という有名な言葉がありますが、まったく同じことを言っています。

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4-4.「起業時の忙しさは、想像を絶する」(加谷珪一氏)

起業家として成功し、『お金持ちの教科書』などのベストセラーで知られる、コンサルタントの加谷珪一氏。加谷氏はブログ「お金持ちの教科書」の中で、下のように書いています。


事業のスタートアップという時は、想像を絶する激務となる。筆者が起業したのは30歳だったので、数日、まともに眠らなくても平気だったし、最初の1年は、ほぼすべての土日を仕事に費やすことができた。

「費やすことができた」と書いていますが、普通の人の感覚だと「費やさなければいけない」でしょう。とにかく「まともな方法でお金持ちになる」というのは、決して楽ではないのです。

しかし、楽ではないからこそ、確かな知性・強靭な精神力が身につくわけです。加谷珪一氏と、たとえば与沢翼氏などの「楽して稼ぐ系」の人が書く文章を比較すれば、両者の知性の差は一目瞭然です。(与沢氏も、学生時代の経歴を考えると、潜在能力はかなり高いはずなのですが…)

…というように「最近の日本で稼いでいる」加谷氏も、古来からずっと伝わっている聖書や、マルクスの資本論でも、みんな「同じこと」を言っているのです。お金持ちになりたいなら「獅子が我が子を、千尋の谷に突き落とす」ような「本当の自己愛」を持って挑むべきでしょう。


以上、マルチビジネスのためにキャッシングをして、多重債務にならないための「お金を稼ぐことに対する考え方」も含めて、まとめました。かなり根っこの部分まで話が行きましたが、キャッシング・カードローンで身を滅ぼさないためには、結局こういう「根本の部分」が、何よりも大事になるのです。

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5.参考文献・サイト一覧

  • 青木雄二(1999)『ナニワ金融道・文庫版 第8巻』講談社
  • 「タイヤ販売のマルチ商法」について、参考
  • Wikipedia『射幸心』
  • https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%84%E5%B9%B8%E5%BF%83
  • 射幸心の定義について、参考
  • 永江一石のITマーケティング日記「本日の独り言。ITビジネスでもなんでもない、単なるマルチ商法まがいについて」
  • http://www.landerblue.co.jp/blog/?p=5199
  • 「アフィリエイトの稼ぎ方を教える」いわゆる「ネットビジネス」が、ただのマルチ商法であることについての参考
  • 松下幸之助(1996)『松下幸之助発言集ベストセレクション〈第1巻〉』PHP研究所
  • 「商売の原則は変わらない」の項で「商売は必ず儲かる」という趣旨を、下のように述べている(引用)


商売はすればするほど儲かる、損は絶対ありえない、これが商売の常道である。

それがそうなっていないというのは、どこかその人の商売観というものに間違ったところがあるということを、十分にお互いが承知して、そのことを相手に訴えないといけません。

  • お金持ちの教科書「今の1時間と将来の1時間は異なる」
  • http://kanemochi.kyokasho.biz/archives/5731
  • 前述の引用部分を参考
  • マルクス『資本論』1巻・3編・5章・2節「価値増殖過程」
  • 正確な日本語訳は、「だが、地獄への道は善き意図をもって舗装されている。」
  • この名言は「マルクスが最初」ではない。下の文献が原典と推測される
  • 旧約聖書続編、シラ、21-10
  • 「罪人の歩む道は平坦な石畳であるが、その行き着く先は陰府(よみ)の淵である」という言葉がある

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