多重債務防止

キャッシング・カードローンによる、借金の自転車操業とは?普通の人が陥る原因

jitensya

自転車操業とは、個人の場合借金の返済のために、借金を繰り返すという状態です。「自転車は、一度漕ぎ始めたら漕ぎ続けないと倒れてしまう」ということが由来です。

国語辞典を見ると、本来の意味は「法人」(会社)の経営に使われるもので、個人には使われません。ただ、この言葉が初めて辞書に載った時よりも消費者金融など、個人の借金が盛んになったことで、個人のキャッシング地獄の場合にも、使われるようになった…といえます。

「不真面目な人」がこういう状態になるのは当然ですが、「真面目で堅実な人」でも、自転車操業状態になることがあります。ここではその原因・パターンをまとめます。

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1.「住宅ローンのボーナス払い」で行き詰まる

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1-1.ボーナスは「突然カット・減額」される

「まじめな普通の人」が、キャッシングの自転車操業に陥る一番の原因―。それが「住宅ローンのボーナス払いができなくなる」です。ポイントをまとめると―。

  • 住宅ローンは、真面目な人でも組む「数千万円の借金」である
  • また「真面目な人」しか組めない
  • しかし、金額が大きいので「ボーナス払い」の金額も大きい
  • そして、ボーナスは「突然のカット・減額」がある

…ということです。通常の毎月払いの分は「給料が突然ゼロになる」ということはめったにないので、大丈夫なのです。しかし、「ボーナスは、突然ゼロになることがある」ということで、「ボーナス払いをきっかけに崩壊する」…ということが多いんですね。

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1-2.元アイフル社員・笠虎崇氏の指摘

アイフルでトップセールスマンとして活躍されていた、金融ライターの笠虎崇氏も、やはり「住宅ローンが最大の原因の1つ」としています。笠虎氏の主張では、「自転車操業になる原因」自体は、「ギャンブル・投資・女遊び」など他にもいろいろあるのですが、「真面目な人でも、陥る罠」というと、住宅ローンが最大ということです。

実際その通りでしょう。投資もギャンブルも夜遊びも、これらの理由で「真面目な人」が借金地獄に陥ることはありません。しかし「住宅ローンだったら、それもありうる」のです。

ということで、住宅ローンというのはこれからの時代、もっと利用者が減るべきだと私は思っています。日本人の間で住宅ローンが当たり前になったのは、「高度経済成長期・バブル期の常識」が、今でも続いているというだけなのです。

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1-3.「不動産の価値が上がり続ける時代」の常識だった

「住宅ローンを組んででもマイホームを持つメリット」があるとしたら、それは―。

  • その後も価値が上がり続ける
  • 上がらなくても、大きく下がりはしない

ということだったのです。3000万円の自宅を手に入れるために、1000万円の利息を払ったとしても「将来値上がりするなら、むしろ利益になる」し、「価格が下落しないなら、利益が出なくても資産価値はあった」ということです。

しかし、知っての通りバブル崩壊以後は、日本の不動産の価値は年々下がっています。2007年頃に「不動産ミニバブル」がありましたが、あれは―。

  • 表参道など、東京の一等地限定で起きたものである
  • 「外資の買い占め&転売」によって「売買価値」が上がっただけである
  • 人口増など、本来の不動産の価値を上げる理由があったわけではない

ということに注意が必要です。このような「本質的でないバブル」は、局地的に起きていますが、基本的に日本の不動産は「年々価値が下がる一方」なのです。

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1-4.住宅ローンのボーナス払いは「少なめに設定」する

上のように「住宅ローン自体、あまり組まない方がいい」のですが、組んでしまった以上は、返済していくしかありません。また、人によっては、組む方が正解だったということも当然あるでしょう。

で、その場合は「ボーナス払いの金額を小さくする」というだけでも、十分リスク管理になります。先に書いたように、「通常の毎月の返済で、行き詰まるパターンは少ない」からです。

もちろん、浪費をしていたら行き詰まる人もいます。しかし「真面目で堅実な人でも行き詰まる」というのは、圧倒的に「ボーナス払い」が多いんですね。

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2.「クレジットカード」の返済のために借りる

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2-1.初めてのキャッシングの理由は「クレカの返済」が多い

初めてキャッシングする人の理由で一番多いのは「クレジットカードの返済のため」というもの。クレジットカードの引き落としは、口座に現金を入れる必要があり、その現金を借り入れしたい…ということですね。

  • 消費者金融など、別の業者から借りる
  • クレカの「キャッシング機能」で借りる

という二通りの方法がありますが、特に後者は典型的な自転車操業と言えるでしょう。「クレジットカードの返済を、クレジットカードでしている」わけですからね。

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2-2.リボ払いだと、特に借金の意識が薄くなる

クレジットカード自体「借金している」という意識が薄いものですが、特に返済方式を「リボ払い」にしてしまうと、借金意識はますます薄くなります。理由は、リボ払いだと

  • どれだけ借金総額が膨らんでも
  • 毎月の支払額が「2万円」など、少額のまま

…ということです。

  • 「本当はたくさん借金がある」のに
  • 毎月「払え」と言われている金額が小さいので
  • 「自分の本当の借金の金額」に気づきにくい

…ということですね。借金の総額が増えれば増えるほど毎月の支払額のほとんどが利息に消えていくようになっているのですが、それに気づかないのです。

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2-3.50万円借りている場合、月々の利息はいくらか

1つの常識として「クレジットカードで50万円借りている場合の、月々の利息」を知っておくといいでしょう。クレジットカードの場合、金利は大体「実質年率15%」なので、それで計算します。計算の過程を書くと―。

  1. 15%で「10万円を1ヶ月」だと、1200円の利息
  2. 50万円なら5倍なので「6000円」

となります。この「15%で、10万円を1ヶ月」=「1200円の利息」という「公式」を覚えておくと、借金の計算がしやすくなります。

ちなみに、これがアコム・プロミスなどの消費者金融の場合は「18%」で、「10万円を1ヶ月で、1500円の利子」となります。

こういう計算が瞬時にできる人だと、自転車操業に陥る危険性は、断然低くなります。過剰な借り入れさえしなければ、クレジットカードは―。

  • 財布を持ち歩く必要がない
  • ポイントやマイルが貯まるので、現金よりも得

…というメリットがあります。クレジットカードでもキャッシングでも、包丁でも自動車でも、すべては使う人次第なのです。

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3.連帯保証人・借金の肩代わりをする

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3-1.自己破産者の4分の1は「保証人・肩代わり」

自己破産する人の4分の1は「連帯保証人になった」「他人の借金の肩代わりをした」というのが原因です。これは適当な推計ではなく、2011年に日本弁護士連合会がまとめたデータです。

(首相官邸などもこれを引用して政策を検討しているので、日本でもっとも確かなデータの1つです)

当然ですが、「自己破産まで行くレベルの借金」というのは、そうそうありません。普通のサラリーマンの場合「1000万円」は超えていないと、自己破産は認められません。

「そのレベルまで借金を背負わされた人」が、4分の1ということです。実際には―。

  • 「自己破産」まではいかなかったけど
  • 「保証人になって、相当苦しんだ」人が
  • かなりの人数いる

ということなんですね。だから、借金の連帯保証人や肩代わりは、たとえ家族や友人が相手であっても基本的に引き受けないというようにしてください。

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3-2.連帯保証人は「自分が借金する」のと同じである

そもそも連帯保証人というのは「その人本人が借金したのと、同じ責任を背負う」んですね。たとえば―。

  1. 連帯保証人になった瞬間
  2. 「借りた本人」には全然取り立てをしていないのに
  3. いきなり「連帯保証人」の方に取り立てに来る

ということもあるのです。連帯保証人はこれに抵抗することができないんですね。

多くの人は「そんな馬鹿な」と思うでしょうが、これは「催告の抗弁権」というものです。

  • 借金の「催告」に対して
  • 「抗弁」する権利が「ない」

ということなんですね。だから、この場合「借りた本人は一円も返済せず、すべて連帯保証人が返済する」ということになるのです。

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3-3.連帯保証人が「複数いても」一人が全額返済する

連帯保証人でよく騙されるケースが「複数いる」というものです。

  1. 「500万円」の連帯保証人を頼まれた
  2. しかし「5人いるから、一人あたり100万円しか責任がないよ」と言われた
  3. それで安心して引き受けた

…というケースはよくあります。しかし実は連帯保証人が何人いても「一人に全額返済を要求する」ことができるのです。

これを「分別の利益」がないといいます。分別の利益というのは「人数で、借金総額を割る」ということですね。

普通の保証人(単純保証人)だったらこれができるのですが、連帯保証人はできないのです。「借りた本人と、同じ責任」ですからね。「保証人が何人いようと、借りた本人が全額返済するのは当然だろ」ということです。


…というように、連帯保証人というシステムは「知れば知るほど不合理なシステム」なのです。いや、不合理ではないのですが「徹底的に、連帯保証人が損をする」ようにできているんですね。

本当に信用できる大事な家族…などなら別ですが、このようにリスキーな連帯保証人を「友人程度の関係で気軽に頼んで来る」というのは、「もはや友人ではない」と思っていいでしょう。

大ヒット漫画『カイジ』の名言で「金は命より重い…!そこの認識をごまかす輩は生涯地を這う…!」というものがあります。実際に「金が命より重い」かは価値観が分かれるでしょうが、「連帯保証人になることの責任の重さ」は、この名言にも通じるものがあるでしょう。

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4.「災害・病気・事故」などで働けなくなる

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4-1.まじめな人ほど「体を壊してしまう」ことが多い

病気・事故などが原因で「働けなくなる」というのも、真面目な人が自転車操業に陥る原因の1つです。特に職業によっては真面目な人ほど、体を壊しやすいということもあり、注意が必要です。

肉体労働もそうですし、たとえば営業職などで「ノルマを達成できないことを、必要以上に深刻に考えてしまう」などの原因ですね。もちろん、職場によってはノルマは絶対ということもあるでしょうが、「何だかんだで、こなさなくても生きている」人はいます。

そういう風に「適当に」生きられたら体を壊すこともないのですが、真面目な人は「深刻に考えすぎて」「精神を病んでしまう」ということが多いのです。

鬱病は、脳という臓器のケガ・風邪のようなものです。そのため、どれだけ心が強い人であっても、ある日突然「インフルエンザのように発症する」ということはあります。

そうして働けなくなれば、貯金がない人だと、キャッシングせざるを得ません。そこから回復が長引くと、そのまま借金の自転車操業になる…というパターンが多いのです。

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4-2.震災などの災害は、誰にでも起こりうる

私は以前、愛知県のパチンコ屋で働いていました(これも借金の返済のためでしたが)。その時期は2011年でしたが、言わずとしれた東日本大震災が起きた年です。

で、震災の後何人か「東北から来た方」がいました。言うまでもなく「震災によって仕事がなくなってしまった方」ですが、特に深刻だったのが「自宅を建てたばっかりだったのに、全壊してしまった」という方です。

そういう悲劇があるというのは新聞などの報道で知っていました。しかし、リアルに自分の目の前に現れるとは思っていなかったので、少々面食らったものです。と同時に「一寸先は闇」という古いことわざの意味を、あらためて実感させられました。

先に書いた住宅ローンの話とも重なりますが、マイホームを持つにしても、その他何をするにしても、「生きている限り、人生はリスクの連続」なのだとあらためて感じます。

「じゃあ、怯えて生きればいいのか」と言われるでしょう。そうではないのですが、「怯えて生きるのではないし、楽しく生きるけど、悲劇が起きることも覚悟しておく」という心構えが大事だと思います。

ここまで来ると「人生哲学」に近いかも知れませんが、結局お金と向き合うことは「人生と向き合う」ことなのです。ドストエフスキーの『死の家の記録』の名言通り「貨幣は鋳造された自由」ですから。

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5.参考文献・サイト一覧

  • Wikipedia『自転車操業』
  • https://ja.wikipedia.org/wiki自転車操業
  • 自転車操業の本来の意味が「法人の資金繰り」であったことなどを、参考
  • 笠虎崇(2007)『金融屋―借金漬けにされる消費者たち』彩図社
  • 「住宅ローンのボーナス払いが、真面目な人が自転車操業になる原因」という点について参考
  • 首相官邸「多重債務問題関連資料」
  • https://www.kantei.go.jp/jp/singi/saimu/kondankai/dai01/siryou07.pdf
  • 「2011年日弁連破産事件及び個人再生事件記録調査」の「約4分の1が、保証人・肩代わりが原因」というデータを引用している
  • 福本伸行(1997)『賭博黙示録カイジ 6巻』講談社
  • 70話に「世間の大人どもが本当のことを言わないなら、俺が言ってやる…」「金は命より重い…!」という有名な名言(by 利根川進)が登場する
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