自転車操業とは、個人の場合借金の返済のために、借金を繰り返すという状態です。「自転車は、一度漕ぎ始めたら漕ぎ続けないと倒れてしまう」ということが由来です。
国語辞典を見ると、本来の意味は「法人」(会社)の経営に使われるもので、個人には使われません。ただ、この言葉が初めて辞書に載った時よりも消費者金融など、個人の借金が盛んになったことで、個人のキャッシング地獄の場合にも、使われるようになった…といえます。
「不真面目な人」がこういう状態になるのは当然ですが、「真面目で堅実な人」でも、自転車操業状態になることがあります。ここではその原因・パターンをまとめます。
目次
- 1.「住宅ローンのボーナス払い」で行き詰まる
- └ 1-1.ボーナスは「突然カット・減額」される
- └ 1-2.元アイフル社員・笠虎崇氏の指摘
- └ 1-3.「不動産が上がり続ける時代」の常識だった
- └ 1-4.住宅ローンのボーナス払いは「少なめ」に設定する
- 2.「クレジットカード」の返済のために借りる
- └ 2-1.初めてのキャッシングの理由は「クレカの返済」が多い
- └ 2-2.リボ払いだと、特に借金の意識が薄くなる
- └ 2-3.50万円借りている場合、月々の利息はいくらか
- 3.「連帯保証人・借金の肩代わり」をする
- └ 3-1.自己破産者の4分の1は「保証人・肩代わり」
- └ 3-2.連帯保証人は「自分が借金する」のと同じである
- └ 3-3.連帯保証人が「複数いても」一人が全額返済する
- 4.「災害・病気・事故」などで働けなくなる
- └ 4-1.まじめな人ほど「体を壊してしまう」ことが多い
- └ 4-2.震災などの災害は、誰にでも起こりうる
目次
- 1 1.「住宅ローンのボーナス払い」で行き詰まる
- 2 2.「クレジットカード」の返済のために借りる 2-1.初めてのキャッシングの理由は「クレカの返済」が多い 2-2.リボ払いだと、特に借金の意識が薄くなる 2-3.50万円借りている場合、月々の利息はいくらか 目次に戻る 2-1.初めてのキャッシングの理由は「クレカの返済」が多い 初めてキャッシングする人の理由で一番多いのは「クレジットカードの返済のため」というもの。クレジットカードの引き落としは、口座に現金を入れる必要があり、その現金を借り入れしたい…ということですね。 消費者金融など、別の業者から借りる クレカの「キャッシング機能」で借りる という二通りの方法がありますが、特に後者は典型的な自転車操業と言えるでしょう。「クレジットカードの返済を、クレジットカードでしている」わけですからね。 2章 目次へ 2-2.リボ払いだと、特に借金の意識が薄くなる クレジットカード自体「借金している」という意識が薄いものですが、特に返済方式を「リボ払い」にしてしまうと、借金意識はますます薄くなります。理由は、リボ払いだと どれだけ借金総額が膨らんでも 毎月の支払額が「2万円」など、少額のまま …ということです。 「本当はたくさん借金がある」のに 毎月「払え」と言われている金額が小さいので 「自分の本当の借金の金額」に気づきにくい …ということですね。借金の総額が増えれば増えるほど毎月の支払額のほとんどが利息に消えていくようになっているのですが、それに気づかないのです。 2章 目次へ 2-3.50万円借りている場合、月々の利息はいくらか 1つの常識として「クレジットカードで50万円借りている場合の、月々の利息」を知っておくといいでしょう。クレジットカードの場合、金利は大体「実質年率15%」なので、それで計算します。計算の過程を書くと―。 15%で「10万円を1ヶ月」だと、1200円の利息 50万円なら5倍なので「6000円」 となります。この「15%で、10万円を1ヶ月」=「1200円の利息」という「公式」を覚えておくと、借金の計算がしやすくなります。 ちなみに、これがアコム・プロミスなどの消費者金融の場合は「18%」で、「10万円を1ヶ月で、1500円の利子」となります。 こういう計算が瞬時にできる人だと、自転車操業に陥る危険性は、断然低くなります。過剰な借り入れさえしなければ、クレジットカードは―。 財布を持ち歩く必要がない ポイントやマイルが貯まるので、現金よりも得 …というメリットがあります。クレジットカードでもキャッシングでも、包丁でも自動車でも、すべては使う人次第なのです。 2章 目次へ 3.連帯保証人・借金の肩代わりをする
- 3 4.「災害・病気・事故」などで働けなくなる
- 4 5.参考文献・サイト一覧
1.「住宅ローンのボーナス払い」で行き詰まる
- 1-1.ボーナスは「突然カット・減額」される
- 1-2.元アイフル社員・笠虎崇氏の指摘
- 1-3.「不動産が上がり続ける時代」の常識だった
- 1-4.住宅ローンのボーナス払いは「少なめ」に設定する
1-1.ボーナスは「突然カット・減額」される
「まじめな普通の人」が、キャッシングの自転車操業に陥る一番の原因―。それが「住宅ローンのボーナス払いができなくなる」です。ポイントをまとめると―。
- 住宅ローンは、真面目な人でも組む「数千万円の借金」である
- また「真面目な人」しか組めない
- しかし、金額が大きいので「ボーナス払い」の金額も大きい
- そして、ボーナスは「突然のカット・減額」がある
…ということです。通常の毎月払いの分は「給料が突然ゼロになる」ということはめったにないので、大丈夫なのです。しかし、「ボーナスは、突然ゼロになることがある」ということで、「ボーナス払いをきっかけに崩壊する」…ということが多いんですね。
1-2.元アイフル社員・笠虎崇氏の指摘
アイフルでトップセールスマンとして活躍されていた、金融ライターの笠虎崇氏も、やはり「住宅ローンが最大の原因の1つ」としています。笠虎氏の主張では、「自転車操業になる原因」自体は、「ギャンブル・投資・女遊び」など他にもいろいろあるのですが、「真面目な人でも、陥る罠」というと、住宅ローンが最大ということです。
実際その通りでしょう。投資もギャンブルも夜遊びも、これらの理由で「真面目な人」が借金地獄に陥ることはありません。しかし「住宅ローンだったら、それもありうる」のです。
ということで、住宅ローンというのはこれからの時代、もっと利用者が減るべきだと私は思っています。日本人の間で住宅ローンが当たり前になったのは、「高度経済成長期・バブル期の常識」が、今でも続いているというだけなのです。
1-3.「不動産の価値が上がり続ける時代」の常識だった
「住宅ローンを組んででもマイホームを持つメリット」があるとしたら、それは―。
- その後も価値が上がり続ける
- 上がらなくても、大きく下がりはしない
ということだったのです。3000万円の自宅を手に入れるために、1000万円の利息を払ったとしても「将来値上がりするなら、むしろ利益になる」し、「価格が下落しないなら、利益が出なくても資産価値はあった」ということです。
しかし、知っての通りバブル崩壊以後は、日本の不動産の価値は年々下がっています。2007年頃に「不動産ミニバブル」がありましたが、あれは―。
- 表参道など、東京の一等地限定で起きたものである
- 「外資の買い占め&転売」によって「売買価値」が上がっただけである
- 人口増など、本来の不動産の価値を上げる理由があったわけではない
ということに注意が必要です。このような「本質的でないバブル」は、局地的に起きていますが、基本的に日本の不動産は「年々価値が下がる一方」なのです。
1-4.住宅ローンのボーナス払いは「少なめに設定」する
上のように「住宅ローン自体、あまり組まない方がいい」のですが、組んでしまった以上は、返済していくしかありません。また、人によっては、組む方が正解だったということも当然あるでしょう。
で、その場合は「ボーナス払いの金額を小さくする」というだけでも、十分リスク管理になります。先に書いたように、「通常の毎月の返済で、行き詰まるパターンは少ない」からです。
もちろん、浪費をしていたら行き詰まる人もいます。しかし「真面目で堅実な人でも行き詰まる」というのは、圧倒的に「ボーナス払い」が多いんですね。