生活福祉資金は「国の融資」です。
- 一定以上の「困っている人」が対象
- 給付ではなく融資なので、返済が必要
- しかし、超低金利で「年率1.5%」程度
- 保証人は原則必要だが、場合によってはなしでもOK
ということです。
生活福祉資金の種類・一覧
生活福祉資金はまず、4種類に分かれます。
- 総合支援資金
- 福祉資金
- 教育支援資金
- 不動産担保型生活資金
それぞれの内容は―。
- 総合支援…生活全般の支援
- 福祉資金…要介護者などの支援
- 教育支援…教育関連の支援
- 不動産担保…高齢者で、不動産がある人への支援
という風になっています。多くの人に関係あるのは―。
- 総合支援資金
- 教育支援資金(子供がいる場合のみ)
となります。特に使われるのが「総合支援資金」なので、「生活福祉資金=総合支援資金」と思われています。あるいは両者が違うものと思っている人もいますが、「両者の違い」はありません。
(総合支援資金は、生活福祉資金の一部、ということです)
4種類がさらに9種類に分かれる
この4種類がさらに細かく分かれます。なので、生活福祉資金全体では「9種類」ということになります。
- 4種類
- 9種類
という2つの説がありますが、どちらも正しいんですね。「大分類」か「小分類」かということです。
以下、9種類に分けた場合と、それぞれの利用用途の一覧です。
資金の種類 | 資金の目的 | |
---|---|---|
1.総合支援資金 | 生活支援費 | 生活再建 |
住宅入居費 | 部屋を借りる | |
一時生活再建費 | 特別な生活再建(債務整理・就職など) | |
2.福祉資金 | 福祉費 | 福祉・病気療養 |
緊急小口資金 | 緊急の事態 | |
3.教育支援資金 | 教育支援費 | 高校・高専・大学などの学費 |
就学支度費 | 高校・高専・大学などへの入学 | |
4.不動産担保型生活資金 | 不動産担保型生活資金 | 高齢者の生活資金(不動産が必要) |
要保護世帯向け不動産担保型生活資金 | 要保護の高齢者の生活資金(同上) |
この中には「万人には関係ない」というものも多くあります。そのため、「多くの人に関係ある」というものに絞って、それぞれの金額をまとめます。
(いくら融資してもらえるか、ということです)
生活福祉資金の種類別、融資金額一覧
生活福祉資金で貸してもらえる金額は、種類別に下のようになっています。
種類 | 給付額 |
---|---|
生活支援費(2人以上) | 月20万円 |
生活支援費(単身) | 月15万円 |
住宅入居費 | 40万円 |
一時生活再建費 | 60万円 |
緊急小口資金 | 10万円 |
教育支援費 | 月6万円前後 |
就学支度費 | 50万円 |
解説すると、下のようになります。
- 生活費としては、月15万円融資してもらえる
- 2人以上の世帯だったら、月20万円
- 住宅入居費が40万円なので、部屋を探すことは問題ない
- 緊急の場合も10万円借りられるので、大体のピンチはこれで何とかなる
- 金額はすべて「以内」なので絶対にこの金額というわけではない
という風です。そして、「教育支援費」については子供が通う学校の種類によるので、これも一覧にします。
教育支援資金で借りられる金額一覧
- 高校…月3.5万円以内
- 高専…月6万円以内
- 短大…月6万円以内
- 大学…月6.5万円以内
このようになっているので、学費は問題なく払えるでしょう。高校の学費は、公立の場合は全国平均で「月約1万円」となっています。つまり、学費以外であと「毎月2.5万円」借りられるので、修学旅行などの費用もこれで捻出できるでしょう。
大学の学費について
大学の学費は、私立大学で「前期で45万円」程度が普通です。ということは、月7万円~8万円必要ということ。こう考えると、生活福祉資金の教育支援資金では、「子供を私立大学に通わせることはできない」ということになります。
しかし、それは当然でしょう。今の時代、普通に働いているサラリーマン・公務員の家庭でも、子供を私立大学に通わせるのは、結構難しくなっています。公立だったらこの半分の学費でいいので、月3.5万円~4万円あればいいということ。これなら、教育支援資金の「月6.5万円以内」で十分間に合うでしょう。
大学だったら、奨学金を借りる手もある
もっとも、大学の学費だったら、日本学生支援機構の奨学金を借りるという方法もあります。「奨学金はサラ金よりも悪質」という極論が最近多く見られますが、これは間違っています。奨学金は生活福祉資金と同等の、超低金利でお金を借りることができます。
奨学金の上限金利は「3%」となっていますが、これは「日本全体の金利がどれだけ上がっても、これ以上は上げない」という意味。実際の金利は、変動金利で0.5%程度、固定金利でも、1%程度となっています(年度によって多少違いますが)。
生活福祉資金の金利が「1.5%」なんだから、奨学金の金利がいかに安いかわかるでしょう。これ以上の低金利といったら、もはら返済不要の―。
- 職業訓練受講給付金
- 生活保護
などしかありません。これで「サラ金より悪質」と主張する人の神経が理解できない…というくらいです。
総合支援資金の借り方・申し込みの方法
生活福祉資金の中で、多くの人が一番よく使うのは「総合支援資金」です。これを申し込むための条件をまとめると―。
- 求職中の人は、まずハローワークに登録する
- 住居がない人は、地方自治体の住宅手当の申請を先にする
- その他の人は、市区町村の社会福祉協議会に行って手続きをする
という風です。つまり、仕事や自宅がない人の場合、先にハローワークに行ったり、住宅手当を受けたり…というステップが必要なんですね。
一般の人の申し込み方法
住宅がある、仕事もあるという人の場合(あるいは、上のハローワークなどの手続きをすでに済ませたという場合)。下のような必要書類を用意して、社会福祉協議会で申し込みをするだけです。
- 健康保険証か、住民票の写し
- 世帯の収入などの状況がわかる書類
- 連帯保証人をつける場合、その財力がわかる書類(源泉徴収票など)
- 今後の自立に向けての計画書
- 総合支援資金の借り入れ申込書(これは窓口でもらって書くだけ)
- 他の国の融資を受けている場合は、それに関する書類
- 住宅入居費を借りる場合は、その不動産に関する書類
- 総合支援資金の借用書(これも窓口でもらって書く)
- その他、必要とされた書類
…という風です。簡単に書くと―。
- 保険証
- 住民票
- 収入証明書
があればいいということです。あとは―。
- 連帯保証人をつける場合
- 住宅入居費の場合
というように「○○の場合」という条件なので、全部共通というわけではありません。
とにかくまず、社会福祉協議会の窓口に行くことです。必要書類や条件が不足しているようなら、そこで親切に教えてくれます。
これは生活福祉資金を借りる時だけでなく、自己破産・任意整理・個人再生・特定調停などの債務整理でも同じですが、とにかく「誰かに相談する」というのが真っ先に重要です。
迷える者は、道を問わない(迷者不問)
有名な名言・故事成語で「迷える者は、道を問わない」というものがあります。(問わずとか、尋ねないとかの別バージョンもありますが)
これは四字熟語では「迷者不問」といい、出典は中国古典の『荀子』大略篇です。『荀子』というのは「性悪説」で有名な人物ですね。
この格言を見てもわかる通り、キャッシングやカードローンで破産しないためには、「人に相談する」ということが、何より大事なのです。
- 借金依存症の人は、自分が病気だと思っていない
- 低収入の人は、どうすれば高収入になれるか、本気の勉強をしない
- ↑(情報商材などの詐欺的なものにばかり、道を尋ねる)
- 自己破産はほとんどデメリットがないにも関わらず
- その後の給料がもらえなくなるなどの誤解を抱いている
という風です。これらはほんの一例・氷山の一角で、「専門家や知識がある人に相談すれば解決する」「勉強すれば生活が改善できる」というケースは非常に多いのです。
そのような「お金に関して残念な人」にならないように「迷者不問」という言葉を意識してください。