過払い金の返還請求とは―。
- 払い過ぎた利息を
- 返還してくれるよう
- 業者に請求する
というものです。なぜ「利息を払い過ぎた」のか、その理由から説明します。
以前の日本は「金利のルールが2つ」あった
金利は当然「上限」を決める法律が必要です。そして、以前の日本にはこれが2つあったのです。
- 利息制限法
- 出資法
というものです。そして、それぞれの「上限金利」が違っていたんですね。
- 利息制限法…20%
- 出資法…29.2%
という風でした。そして、この「20%~29.2%」の間の金利が、「違法なのか、合法なのかわからない、グレーゾーン金利」と呼ばれていたのです。
消費者金融は29.2%の金利でやっていた
で、消費者金融としては当然たくさん利息がほしいので、「29.2%」で金利をかけることになります。出資法で認められていたわけなので、完全に合法です。
しかし、2006年にこれが「違法」ということになってしまった。そして「これまでに29.2%でとって来た利息も、すべて返還しなければいけない」というルールになったんですね。「過去にさかのぼって適用」されるようになったのです。
ということで、2006年~2010年以前に消費者金融でお金を借りていた人は、この「グレーゾーン金利」で利子を払っていることが多いです。その分は「取り返す」ことができるので、「過払い金の返還請求」というものが、始まったのです。
過払い金はいつから発生しているのか?
これは「借り入れしていた業者によって違う」というのが正解。「グレーゾーン金利の撤廃」は―。
- 発表…2006年末
- 完全実行…2010年6月
となっているのです。そして、アコムなどは一番早く2007年6月にグレーゾーン金利を撤廃しましたし、その後も大手のキャッシング業者・ブランドは、早めに金利を引き下げています。
ということで、正確に「いつから」というのは、すべての業者で共通の答えはありません。アコムの場合は「2007年6月18日以前」ですし、他のキャッシングブランドも、それぞれで日にちが違っています。
何にせよそれぞれの業者・ブランドが金利引き下げをする前から借り入れしていた人は、過払い金が発生しているということです。
少なくとも「2006年より前」から借りていた人は、どこの業者・ブランドで借り入れしていようと、必ず過払い金が発生しています。
過払い請求はどうやってやるのか?
過払い金の返還請求は自分でもできます。司法書士・弁護士・行政書士などに頼んだら全部丸投げでOKですが、それだと説明が必要ないので、ここでは「自分でやる方法」について書きます。
まず、過払い金の返還請求の手順をまとめると―。
- 利用明細を請求し、過払い金の有無を確認する
- 過払い金の返還請求をする書類を、業者に送る
- 業者から折り返し連絡が来る
- 業者は過払い金を減らそうとすることが多いので、この交渉をする
- 自力で全額回収が難しいと判断したら、司法書士・弁護士などに頼む
という風です。補足が必要な部分を、補足していきます。
利用明細をどうやって請求するのか?
正確に言うと利用明細ではなく「取引履歴」といいますが、「取引履歴開示請求書」という書類があります。これはネットで検索するとPDFが出てくるので、それを印刷して、手書きで記入すればOKです。
取引履歴開示請求書は「A4一枚の簡単な内容なので、記入はすぐに終わります。書く内容は、氏名などの個人情報に加えて―。
- 会員番号
- カード番号
- 「この文書の開示を求める」という一文
- 「開示を求める理由」
- 「附属書類」として、どの身分証明書をつけたか書く
という風です。「この文書の開示を求める」というのは、下のように書きます。
- 私と貴社の
- 金銭消費賃借契約に基づく
- 当初借り入れから
- 最終取引日までの、
- 全ての取引履歴。
という風です。ここではわかりやすく分割して書きましたが、これをつなげて書けばOKです。「取引履歴」だけだと、1ヶ月分でも別にOKなので「全期間の取引履歴をください」という意味で、こうして完璧に書くんですね。
過払い金返還請求書の書き方
これはネットにひな形・テンプレートがあるので、それをダウンロードしたり、参考にしながら書けば大丈夫です。手書きはせず、必ずパソコン(ワードなど)で作るようにしましょう。
過払い金返還請求書で書く内容は、大体下の通りです。(以下、文面の口語訳です)
- 「開示してもらった取引履歴」を見つつ
- 引き直し計算をしたところ
- 「○○万円」の過払い金が生じていることがわかりました
- これを14日以内に下の口座に入金してください
- 振り込んでいただけない場合、民事訴訟で請求します
- その場合、裁判にかかった費用も合わせて請求します
というものです。これがもっとお堅い言葉で書かれていますが、内容としてはこれだけです。こういうテンプレートや例文がネットにあるので、その―。
- 金額
- 振り込み先口座
- 借り入れしていた期間
などを書き換えるだけです。
これを送った後、業者が電話などによって返事をしてきたら、そこから交渉に入ります。もっとも、返事自体してこないこともありますし、その場合は司法書士・弁護士などの専門家に相談して、彼らから過払い請求書を送ってもらうのがいいでしょう。
(それだったら、確実に一発で返事が来て、全額返還してもらえます)
以上、過払い請求のやり方も含めて、過払い金の返還とは何か、その歴史・経緯などをまとめました。参考になれば幸いです。