借金依存症とは、「病気のように借金してしまう」症状。大別して2通りがあり―。
- 「借金」が目的である
- 「ギャンブル依存症」などの併発症状として起きている
というものです。後者が多いですが、前者の場合も稀にあります。
後者については、なぜ借金に依存するのかわかるでしょう。ここでは前者の「借金自体が目的」の依存症について説明します。
借入審査に通ることで、自己肯定感を得られる
この見出しだけで、何となく「ああ」と思う人も多いでしょう。人間にとって「自己肯定感」というのは、そのくらい重要だからです。
たとえば受験や入社試験などで失敗した思い出しかない人は「何かの審査に通る」ということに、大きな成功体験を感じるのです。
それがキャッシングやクレジットカードの審査であろうと、とにかく「審査通過した」ということに「自分が認められた」という感覚を覚えるんですね。
就活で選考に落ちた学生と同じ
これは就活した学生も多かれ少なかれ、本質的には同じことを言います。「お祈りメールが来る度に、自分が全否定された気分になる」…というものです。
別にあちらは「あくまでうちの採用基準に合わなかった」と言っているだけなのだから、そこまで落ち込む必要はないのですが、しかし気持ちはわかるでしょう。誰でも何かしら、似たような経験&感覚に陥ったことはあるはずです。
で、借金依存症の人はその逆になるんですね。「キャッシング審査に通ったところで、別に偉くも何ともない」のですが、本人にとっては「大きな達成感」があるのです。「初めて自分が認めてもらえた」というような感覚ですね。
想像すると、少々切なくなります。子供時代などに、あまり褒めてもらったことがないのでしょう。だから、一概に、借金依存症の人を「心が弱い人」と言って、否定してはいけない…と感じます。
借金依存症の人のパターン・特徴・傾向
傾向や特徴をまとめると、下のような点が挙げられます。
- 本人は、まだ余裕で返せると思っている
- 借入審査に落ちると、突然パニック状態になる
- 出費に関して無頓着で、電気などもつけっぱなしにする
- 虚言癖があり、人によっては迫真の演技をする(家族からお金を借りるため)
…というようなものです。まだ、特徴や症状は山程あるのですが、特に注目すべきは「電気やエアコンなどを、つけっぱなしにするようになる」ということでしょう。
つまり、これまでそういう作業をしっかりしていた人が、それをしなくなったら、…何らかの変化が起きた、と考えるべきです。
収入が増えた人なら、時給が高くなるので、そのようなことに無頓着になることもあるでしょう。しかし、収入が大きく増えたわけでもないのに、こういうことに無頓着になったら―。
- 金銭感覚が麻痺している
- 麻痺の原因となる、何かの症状があるかも知れない
と考えるべきです。鬱病かもしれませんし、何かの神経障害、認知症などかも知れません。
とにかく、家族や自分にそういう変化が見られたら、その時は生活を見直した方がいいでしょう。
借金依存症の治療・克服方法
借金依存症は、本人に「病気」という自覚がないため、周りの協力・指導が不可欠です。
- まず、病気ということを徹底して教える
- 絶対にお金を貸さないようにする
- 自助グループなどに通う
- 精神科のカウンセリングを受ける
という風です。一番大事なのは、やはり「病気だということを、しっかり自覚させる」ということでしょう。それがなければ、他のことがすべて通じませんから。(後、お金を貸さないのも大事ですね)
貸付自粛制度は、本人以外は適用できない
キャッシングでは「貸付自粛制度」というシステムがあります。ギャンブルや浪費の依存症の人が、「これ以上借金できないように」と「自分にお金を貸さないでくれ」と、要求するものですね。
これを日本貸金業協会に申請すると、3ヶ月は、クレジットカード・キャッシングなどの審査にすべて通らなくなります。ということで、自分で「借金をやめたいけど、やめられない」と思っている人の場合、この貸付自粛制度は非常に有効です。
しかし、この貸付自粛制度には一つ難点があります。それは「家族が申し込んでもダメ」ということ。あくまで「本人」が申し込まなければいけないのです。
ということで、本人が「自分は病気である」という自覚を持ってくれるまでは使えない方法ですが、もし自覚を持たせることができたら、これによって「絶対にキャッシングもクレジットカード利用もできない」という状態に持っていけます。
強迫的借金依存症のサイン・兆候・初期症状
借金依存症は、「強迫的」が最初につく場合もあります。で、この兆候として自助グループのDA JAPANさんのサイトで、初期症状がまとめられています。
- 自分の家計を把握していない
- 小銭・本・ペンなどを人から借りて、返さない
- 先のことを予想しない。倹約しない
- 普通の人が当たり前にする支払いを難しく感じる。できたら異様な達成感を感じる
- 衝動買いをし、後悔からか、すぐに返品できるように値札をつけたまま触っていない
- お金に関するトラブルに、いつも巻き込まれている
- クレジットカードで買うと、なぜかクラブの会員のように、偉くなったと感じる
- お金に関するちょっとした話でも、過剰に嫌悪感を持つ
- ギリギリの生活をする。保険の解約をしたりして、一時的なお金を得ようとする
- 自分の健康や生活を改善することに、嫌悪感を持つ。自己評価は特にしたくない
- 全然仕事をしないか、逆にオーバーワーク
- 本人の学歴やスキルに対して、低収入な職業についている
- 万が一の時には、誰かが助けてくれると思っている。危機感がない
…というものです。特に個人的に気になったのが「学歴やスキルに対して、給料の安い職業に就いている」というもの。大卒や大学院卒の若い人で、これがグサッとくる人は多いのではないでしょうか。
どうしてこういう風になるかというと、その大学を選んだり資格の勉強を始めたりした時点で「それは実際に利益になるのか」を突き詰めて考えていなかったということ。
- 大卒なら、とりあえず高卒よりいい仕事に就けるだろう
- 司法試験に通れば、弁護士になって金持ちになれるだろう
と思っていたわけですね。しかし、お金に対して本当に貪欲であれば―。
- まず真っ先にお金を稼ぎに行く
- どういう人がお金持ちになっているのか調べる
という努力をしたはずなのです。そして、どちらにしても「これからの時代、学歴は要らない」「資格だけでは役立たない」ということに、気づいたはずなのです。
それに気づかなかった時点で―。
- お金のことに興味がなかった
- だから、支出のことなども考えてこなかった
となるんですね。奨学金の返済で苦しんでいる若い人は多いですが、これは本人がお金の勉強をしなかったことと、周りの大人がそれを教えなかった(むしろ悪だと叩き込んだ)…ということに起因するのです。
借金依存症の人の症状は、普通の人でもある程度当てはまる部分があります。もし自分が少しでも当てはまっていると思ったら、危機感を持った方がいいでしょう。
(私も借金総額が130万円あった頃は、ここに書かれていることがかなり当てはまっていました)